2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高精度・超並列計算を可能とする数値積分に特化した新しい量子化学の構築
Project/Area Number |
23655019
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
立川 仁典 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (00267410)
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Keywords | 量子モンテカルロ法 / 経路積分法 / 並列アルゴリズム / 陽電子化合物 / 分子振動解析 |
Research Abstract |
これまで申請者は、水素原子核の量子揺らぎや陽電子系にも適用可能な量子多成分系分子理論を開発してきた。本研究課題では、数値積分に特化した計算手法の構築に挑戦し、特に以下2点に示すような、①高精度計算手法の開発と、②並列計算の実装という研究項目を設定し、具体的に陽電子化合物や分子振動解析の精密計算を実施した。 ①高精度計算手法の開発: 陽電子化合物や分子振動解析を精密に実施するために、多成分系分子軌道法や量子モンテカルロ法を基礎とし、理論手法の開発を行った。 ②並列計算の実装: ①で導出した理論手法をもとに適したアルゴリズムを実装したが、並列化効率に関しては未だ課題の余地がある。しかしながらこれらの手法を用いて、精密な分子振動解析や陽電子化合物の陽電子親和力といった、具体的問題に適用することに成功した。一方で、経路積分法や多成分系分子軌道法に関しても並列化実装を行った。 具体的な計算として、小分子における分子振動解析の精密計算に成功した。従来手法の調和振動子近似によるゼロ点エネルギー値だけでなく、振動配置間相互作用法によるゼロ点エネルギー値をも超えることに成功した。また分子振動を考慮しつつ陽電子化合物を計算することにも成功した。その結果、平衡構造では陽電子親和力が負であったものが、分子振動を考慮することで正になる、という驚くべき結果が得られた。特にIR活性のモードに対してその傾向が大きくなることが解った。研究協力者として、横浜市立大学量子物理化学研究室メンバーに協力いただいた。また以上の結果は、理論研究者だけでなく実験研究者にもフィードバックしている。
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Research Products
(20 results)