2011 Fiscal Year Research-status Report
独自の側鎖配列自在制御連結系による分子折りたたみの研究
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23655026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 耕三 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50217569)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 分子建築 / 人工酵素 / 配位子 / 金属錯体 / 錯体触媒 / スペーサー / 高分子 / 有機典型元素化合物 |
Research Abstract |
金属蛋白質は生体内で重要な役割を果たしているが、その機能発現状態においては配位性側鎖を含む種々の側鎖や金属の相互作用により、金属近傍や全体の構造が適切に制御されている。また機能発現に至る過程においては活性型構造への分子折り畳み(フォールディング)も重要である。本研究は、配位性側鎖を含む大規模な人工の側鎖配列制御連結系を構築してその分子折り畳みと機能発現について知見を得ようとするものである。平成23年度は、我々が開発した有用なスペーサーユニットである 4,7-ジブロモベンゾ[b]チオフェンの種々の反応と多様なビルディングブロックの合成について、以下のように検討した。まず4,7-ジブロモベンゾ[b]チオフェンの2-位を選択的にリチオ化した後、ボロン酸エステルに変換し、クロスカップリング反応により4-ピリジル側鎖を導入した。同様に2-位にヨウ素原子を導入した後、クロスカップリング反応により段階的にエチニル基およびジフェニルポルフィリンユニットを導入した。次に、主鎖を構築する置換基の導入について検討した。即ち、ジブロモベンゾ[b]チオフェンの4,7-位での鈴木-宮浦反応によりフェニル誘導体あるいはビフェニル誘導体を連結し、主軸の長さが約30Åになるオリゴアレーン系を構築した。同じく4,7-位での薗頭反応により主鎖部分にシリルエチニル基を導入した化合物も合成した。また7-位の臭素原子をヨウ原子に変換して、4-ブロモ-7-ヨードベンゾ[b]チオフェン誘導体とした後、その段階的クロスカップリングにより、側鎖のシークエンスを制御した形の連結系を構築した。さらに4-ピリジル基を側鎖とするユニットに亜鉛ポルフィリン誘導体を加えてNMRスペクトル変化を測定し、配位性相互作用に関する基礎的知見を得た。以上により、本連結系を分子折り畳み研究に利用する準備ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度交付申請書に例として記載した形のビルディングブロックは全て合成した。これらは本研究を進める上で基本的かつ重要なユニットであり、それらを合成し、基礎的なスペクトルデータの収集できたことは本研究の展開の上で意義深い。さらにこれらのビルディングブロックを用いて、金属ポルフィリンを導入したベンゾチオフェンユニットも合成した。これは年度当初計画よりも少し早めに研究が進展していることを示す結果である。東日本大震災の影響から、研究展開について安易な楽観視はできない状況であるが、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度で合成した種々のベンゾ[b]チオフェンユニットのスケールアップ合成と、それを利用した連結系の構築について検討する。まず30Å程度の主軸を有するカラム様ユニットを合成し、次いで極性リンカーを用いたカラム間の連結について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度受領研究費における次年度使用該当なし。
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Research Products
(3 results)