2012 Fiscal Year Research-status Report
遷移金属を使わない重水による求核的な重水素標識手法の開発
Project/Area Number |
23655030
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 直和 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00302810)
|
Keywords | リン / 極性変換 / 還元 / 重水素化 |
Research Abstract |
本年度は前年度までに開発した超原子価水素置換リン化合物を使った種々のカルボニル化合物との反応を検討し、ヒドリド還元剤としての有用性を検討した。その結果、アルデヒド、ケトン、α,β-不飽和アルデヒド等の種々のカルボニル化合物の還元に有用であることが明らかとなった。実用性を考慮して、H-D交換とヒドリド還元をワンポットで行える反応条件を探索した。重水を重水素源とするカルボニル化合物の求核的な重水素化反応、すなわち重水を用いた形式的なデューテリド還元反応を実現することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の本研究の目的は、リン-水素結合を有するアニオン性6配位リン化合物を使ったヒドリド反応性の適用可能性の検証と、重水を使ったワンポットでのカルボニル化合物の重水素化を実現することであった。その二つの目的は達成できたので、おおむね順調に進展したと言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、これまでに得られた異性体の反応性の違いについて、反応機構の観点から明らかにし、反応の更なる効率化を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
反応機構の検証について、さらなる実験が必要であるので、試薬・ガラス器具に使用する予定である。
|