2013 Fiscal Year Annual Research Report
ロタキサンキラリティーは有効な不斉場となりうるか?
Project/Area Number |
23655032
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 十志和 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40179445)
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Keywords | ロタキサン / 分子不斉 / 動的不斉 / 光学分割 / 超分子化学 / らせん |
Research Abstract |
分子の絡み合い方向に基づくロタキサンキラリティーは、従来の不斉とは異なる新しい概念に基づくキラリティーであり、ロタキサン特有の動的特性をもつ新しい不斉場を提供しうる。本申請研究ではロタキサンキラリティーの価値や意義を明らかにすることを目的として、不斉場の評価のために動的らせん高分子のキラリティーにロタキサンキラリティーを転写して評価を行ってきた。前年度までに重合性官能基としてエチニルフェニル基を軸成分の末端に有し、非対称クラウンエーテルを輪成分にもつ分子不斉[2]ロタキサンモノマー、および輪成分上にエチニルフェニル基を有し、対称な軸成分を有する分子不斉[2]ロタキサンモノマーを合成・光学分割し、これらを重合してポリアセチレンを合成、そのらせん構造を各種スペクトルにより評価した。前者のタイプのポリマーでは輪成分が主鎖に近づくとらせんキラリティーが誘起され、輪成分と軸成分の交点付近が不斉中心であることがわかった。またエナンチオマー同士は反対のらせんキラリティーを誘起することも明らかにした。後者のタイプではコンポーネントの交点が軸成分上のどこにあるかによって不斉場の程度が変化し、輪成分を境に貫通する軸成分の左右のサイズ差が大きい程、つまり軸末端に輪成分が局在する場合にらせんキラリティーが強く誘起され、より大きな不斉場が構築されることを明らかにした。25年度はロタキサンキラリティーに点不斉を導入し、らせんキラリティーの情報から、これらの不斉場の効果の比較を行った。また、様々な置換基を導入した分子不斉ロタキサンモノマーを設計・合成し、ポリマーのらせんキラリティーを評価することで、不斉場と置換基との関係についても考察した。さらにアキラルなモノマーと共重合して得られたポリマーにおいても、ロタキサンキラリティー由来の不斉増幅効果により、らせんキラリティーが誘起できることも明らかにした。
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