2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655036
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 卓也 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20437198)
|
Keywords | ジアゾカルボニル化合物 / 酸触媒 / 不斉合成 |
Research Abstract |
前年度までの研究成果として、ジアゾカルボニル化合物の酸による活性化が1)不斉分子内Friedel-Crafts型反応、2)ヒドロキシル化反応、3)アミノ化反応および4)不斉分子内セミピナコール反応、の四つに展開できることを明らかとしてきた。本研究課題の最終年度においては1)の不斉分子内Friedel-Crafts型反応の反応機構の詳細についてさらなる検討を行い、重水素化実験からこれまでの触媒的不斉反応と大きく異なる現象がみられることを明らかとした。具体的には不斉配位子であるビナフトール、基質ともに重水素化したものを用い反応を行った場合、極めて大きな同位体効果がみられた。このことから本反応系が複雑なプロトン移動を経ながら進行していることが示唆された。また同反応を分子間に適用する試みも行ったが、こちらについては反応は進行するものの適切な不斉触媒の発見には至らなかった。2)および3)については触媒的不斉化の検討を引き続き行った。その結果、触媒的に反応が進行し、中程度のエナンチオ選択性ではあるが、目的物が得られることをあきらかとした。触媒回転率、選択性ともに現在の有機化学のスタンダードからはいまだ劣るところもあるが、今後の進展が期待できるめどは立ったと考える。また4)においてキラルブレンステッド酸が触媒として働くことを見出していたので、この成果に基づきジアゾカルボニル化合物の酸による活性化に適用可能なキラルブレンステッド酸の創成を試みた。その結果、目的とする反応系とは違うが、ジアゾカルボニル化合物とイミンの反応に適用可能な新しいキラルブレンステッド酸触媒を見出した。
|