2012 Fiscal Year Research-status Report
カテコラート金属錯体を組み込んだ安定な芳香族ジカチオン種の生成と構造に関する研究
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23655042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸部 義人 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60127264)
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Keywords | カテコラート金属錯体 / 芳香族化合物 / ジカチオン / 芳香族性 / 酸化還元特性 / 混合原子価 |
Research Abstract |
・デヒドロベンゾ[12]アヌレンを共役コアとした12員環三核遷移金属錯体について、前年度に引き続き10パイ電子系のジカチオン種の単離を試みたが、結晶化には至らなかった。 ・カテコラートを組み込んだジベンゾシクロオクタジエンを合成し、それを母核とする8員環二核白金錯体の合成を行い、NMR測定等に構造を確認した。電気化学的酸化により6パイ電子系のジカチオン種の発生を確認したが、合成できた試料が少ないため化学的酸化によるジカチオン種の単離を検討するには至っていない。 ・2パイ電子系の前駆体である4パイ電子系のビフェニレンカテコラート白金錯体の合成を目指して、テトラメトキシビフェニレンの効率的な合成法の開拓を検討した。この分子は既知化合物であるが、従来の合成法は反応条件が厳しく、しかも収率が低いためである。ハロゲン置換カテコール誘導体からの短段階合成はすべての場合に複雑な混合物を与えるのみであった。そのためジブロモジフルオロベンゼンのリチオ化を減る方法に切り替え、ようやくビフェニレン骨格に到達した。今後はフッ素置換基をメトキシ基に効率よく置換する方法を検討し、目的の白金錯体合成につなぐ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度は、主にジベンゾシクロオクタジエンおよびビフェニレン系の白金錯体の合成と、それぞれの酸化による2パイおよび6パイ電系ジカチオン種の生成について研究した。前者の系については目的の白金錯体の合成まで到達したが、後者の4パイ電子系については前駆体合成が予想に反して困難であり目的の白金錯体合成に至っていない。そのため、前駆体合成経路を変更し現在新たな方法で合成を検討しているところである。そこで、25年度まで期間を延長し、2パイ系金属錯体の合成と研究成果発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度までに達成できなかった以下の事項を検討する。 ・8パイ系のジベンゾシクロオクタジエン白金錯体については化学的酸化によるジカチオン種の合成とその単離を行う。 ・4パイ電子系のビフェニレン誘導体については、前駆体合成の検討を継続して行い、錯体の合成とその酸化による2パイ系金属錯体の生成まで行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経費の大半は2パイ系のビフェニレン誘導体の合成研究に必要な消耗品(薬品、ガラス器具等)に使用する。そのほかの装置や金属錯体の合成に必要な薬品は、これまでの研究に使用したものが使えるのですべて整っている。
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Research Products
(2 results)