2011 Fiscal Year Research-status Report
超原子価アート錯体を経る高原子効率型多成分連結反応の開発
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23655043
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 拡人 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40335708)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アライン / 多成分連結反応 / 超原子価アート錯体 |
Research Abstract |
反応性中間体であるアラインを鍵反応剤として用い,その極めて高い求電子性を利用することで,未踏の潜在的反応特性を顕在化させることを目指した.具体的には,「(1)中性求核剤との双性イオン形成,(2)双性イオンのアニオン部位と第三成分との超原子価アート錯体形成」を経て,新形式のタンデム型三成分連結反応を開発することを目的とした.イソシアニドを求核剤,アルキニル基を有機基とする臭化物を第三成分として用いると,目的とするタンデム型三成分連結反応が高効率で進行し,2つの炭素ー炭素結合,および,1つの炭素ー臭素結合を一挙に形成しながら,アルキニルイミノ基を持つアリールブロミドを直截的に合成できることを見つけた.反応の官能基許容性は高く,シアノ基のような求電子性の高い官能基も損なわれること無く三成分カップリング体が得られた.また,パーフルオロアリール基のような電子不足アリール基を有機基とする臭化物も第三成分として利用可能で,同様の結合形成を経てアリールイミノ基を有するアリールブロミドを合成できる.さらに,イソシアニドに換えてTHFやオキセタンのような環状エーテルも本反応の求核剤として作用し,上記有機臭素化物を第三成分とした際に,環状エーテル部位の環開裂を伴った結合形成を経て三成分集積生成物へと導くことができることを明らかにした.オキセタンを求核剤,アルキニルブロミドを第三成分として得られる三成分カップリング体の炭素ー臭素結合,および,三重結合部位を手がかりとした7員環構築反応を経て,生理活性を有するベンゾオキセピンの全合成も達成した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルキニルブロミドや電子不足アリールブロミドを第三成分として採用することで,当初の計画どおり,超原子価アート錯体経由のアラインによる三成分連結型反応の開発に成功したため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた成果を基に,有機臭素化物を第三成分とする新たな三成分連結反応の開発にまず取り組む予定である.求核剤としては,イミンを採用し一群の窒素置換アリールブロミドの直截合成法として確立する.また,有機臭素化物以外の第三成分の開拓にも取り組む予定である.特に,得られる生成物の合成的有用性を勘案し,有機スズや有機ホウ素のような金属反応剤の適用を試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新反応開発のための網羅的検討が必要となるので,試薬,溶媒,各種ガス類等の消耗品への使用が主となる予定である.また,情報収集,成果発表のための旅費使用も計画している.
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Research Products
(1 results)