2011 Fiscal Year Research-status Report
ボウル型"η9配位子"を持つ低原子価錯体触媒の創出と窒素固定への応用
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23655048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
雨夜 徹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20397615)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ボウル型π共役系分子 / スマネン / 窒素固定 / ジルコニウム / πボウル / ペンタハプト配位 / ノナハプト配位 |
Research Abstract |
スマネニル配位子を有するペンタハプトジルコノセン錯体の合成に取り組んだ。スマネンを重テトラヒドロフラン溶液中、ブチルリチウムで処理することによりスマネンのモノベンジルアニオンを発生させた。この反応をプロトンNMRにより慎重に追跡しながら、ブチルリチウムを加え、スマネンのモノベンジルアニオンを完全に発生させた。得られたスマネンのモノベンジルアニオンをシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリドで捕捉することで、対応するスマネニル配位子を有するジルコノセンジクロリド錯体を合成した。X線結晶構造解析より、得られた錯体では、シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド部位がボウル型のスマネンの外側よりペンタハプト配位していることが明らかになった。また、同様の反応をシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリドの代わりにペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリドで行うと、対応するペンタメチルシクロペンタジエニル錯体が得られた。X線結晶構造解析より、得られた錯体でも同様に、ボウル型のスマネンの外側よりペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド部位がペンタハプト配位していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ペンタハプト型スマネニル配位子を有するシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド錯体を合成し、その構造をX線結晶構造解析により明らかにすることができたため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、得られたペンタハプト型スマネニル配位子を有するシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド錯体を還元することで、対応するノナハプト型配位錯体の合成を行う。得られた錯体の構造特性を調べる。モデル基質などを用いて、錯体の触媒機能を調査する。さらに、この錯体を用いた触媒的な窒素固定の検討に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
配位子合成および錯体合成のための試薬、それらの実験に必要なガラス器具、消耗品類をはじめとする物品費に使用する。また、国内の学会等における成果発表のための参加登録費や旅費に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)