2013 Fiscal Year Annual Research Report
ボウル型“η9配位子”を持つ低原子価錯体触媒の創出と窒素固定への応用
Project/Area Number |
23655048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
雨夜 徹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20397615)
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Keywords | スマネン / πボウル / ボウル型π共役系分子 / ジルコニウム / ハフニウム / 多核錯体 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度合成したスマネニル配位子を有するジルコノセン錯体の触媒活性を調査するとともに、新たにスマネニル配位子を有するハフノセン錯体の合成と3核錯体の合成を検討した。 昨年度合成した2塩化シクロペンタジエニルスマネニルジルコノセンを用いて、メチルアルモキサンの存在下、1-ヘキセンの重合を行った。その結果、スマネニルジルコノセン錯体の触媒活性が示され、ポリ(1-ヘキセン)が得られた。特異な立体選択性は発現しなかった。 スマネンのモノベンジルアニオンを3塩化ペンタメチルシクロペンタジエニルハフニウムと反応させることで、2塩化シクロペンタジエニルスマネニルハフニウムを合成した。X線結晶構造解析より、得られた錯体の構造はC2対称性を持ち、2塩化ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムド部位がボウル型のスマネンの外側よりペンタハプト配位していることが明らかになった。また、対応するジルコノセン錯体に比べ金属-スマネニル配位子間の結合距離が短いことが明らかになった。 3核錯体を合成するために、スマネンのトリベンジルアニオンを対応する3塩化ペンタメチルシクロペンタジエニルジルコニウムあるいはハフニウムで捕捉した。得られたジルコノセン、ハフノセンいずれの錯体においても、1H-NMRにて3核錯体に対応するプロトン比とC3対称性が示されたことから、3核錯体の生成が示唆された。また、ボウルの外側からの配位した錯体の密度汎関数法を用いた分子軌道計算による構造最適化の結果、ペンタハプト型でエキソから3つの金属がスマネニル配位子に配位した錯体が示された。 今回得られた結果は、低原子価ハプト9錯体合成およびそれを活用する窒素固定を行うための重要な知見として考えられる。
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Research Products
(5 results)