2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655064
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
火原 彰秀 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30312995)
|
Keywords | レーザー分光 / 信号処理 / 画像化 / CCD / 光熱変換分光法 / イメージセンサ / 微量検出 |
Research Abstract |
高度なレーザー分光法は様々な化学情報を得ることができるが、イメージング法との相性は必ずしもよくない。その一因は、画像化と信号処理を同時に実現することの困難さにある。本研究では、CCDをはじめとしたイメージセンサを検出器としたダウンコンバージョン法の提案・実証・応用と、その手法の感度や測定簡便性を大幅に改善できるアナログCMOS 装置設計のための基礎検討を目的として研究を進めた。前年度までに、12 bitのCCDを用いた光熱変換画像化の原理検証に成功した。本年度は、当初の計画に従い、増幅回路を組み込んだCMOS 画像化素子実現のための基礎検討を行った。具体的には、光ダイオードと自作アナログ回路により、ダウンコンバージョン法の実現可能性を検討した。 回路シミュレーションを用いて、光ダイオードに、バンドパスフィルター、増幅器、ハイパスフィルター、整流器を順に接続する回路を設計した。方針としては、光ダイオードに入力するバックグラウンドの直流成分、信号成分である交流成分のうち、直流成分をフィルターで除去後、信号を増幅することとした。実際の回路では、増幅率の最適値は交流成分の大きさに依存して変わる。ここでは、前年度測定した吸光度10の-5乗の色素溶液を光熱変換検出するよう増幅率を250倍に設定した。吸光度10の-4付近の測定では、検量線はよい直線性を示し、期待通りの感度が得られた。しかし、吸光度10の-5乗付近の測定では、検量線の傾きがなくなる現象が見られた。原因を調べたところ、整流器によるカットオフが影響していることが判明した。最終的な回路では、整流器前後にオフセット調整器を設置して、設定通り吸光度10の-5乗の色素溶液を検出できた。本研究では、光熱変換画像化を例に同期画像化を実現したが、この方法は蛍光・ラマン画像化、各種スペクトル測定にも応用できる有用な方法になると考えられる。
|