2013 Fiscal Year Annual Research Report
不安定化学種の網羅的分析のための超低温液体クロマトグラフィーの開発
Project/Area Number |
23655065
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
北川 慎也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50335080)
|
Keywords | クロマトグラフィー / 低温 / 液化ガス |
Research Abstract |
生体内の不安定化学種の包括的な解析を実現することを目的とし、極低温により不安定化学種を安定化させる分離分析手法である「液化低温ガスを移動相に用いる低温液体クロマトグラフィー(HPLC)」として、低温条件での液化・送液・試料注入・検出が可能である液体クロマトグラフのプロトタイプの開発に成功した。 分離挙動に関する基礎検討として、液化二酸化炭素を移動相として、ODSカラムを固定相として用い、多環芳香族炭化水素類等の分離特性評価を行ったところ、逆相分離が得られることがわかった。一方、固定相をシリカ充填剤とし、試料としてキノン類を用いた場合には、順相条件となることがわかった。 ODS の場合についてさらに詳しく分離挙動を調べるために-35~-5℃の範囲で温度を変化させ測定を行った。温度の逆数と保持比の対数の関係を調べたところ、理論通り温度低下に伴い保持比が増加した。しかし、-15℃付近で非線形となる領域が見られ、相転移などの固定相の状態変化が起こっている可能性が高いことが明らかになった。 また温度と分離性能の関係を調べたところ、通常のHPLCでは温度低下に伴い分離性能が一般的に低下するが、移動相に液化二酸化炭素を用いた場合には、-15℃以下で逆に分離性能が向上する特徴的な挙動を示すことがわかった。 低温条件下での不安定化学種分析の試みとして、電気化学反応によりオンラインで生成させたキノンラジカルの分析を試みた。電気化学反応に併せてクロマトグラムの変化を確認することができたが、安定的に測定を行うためには更なる条件検討が必要であることが明らかになった。より低温での分離を目指して、液体窒素温度でのHPLC分離について基礎検討を行ったところ、窒素/メタン混合気体の液体窒素温度での液化に成功し、超低温流体を持用いるHPLC実現の可能性を見いだすことができた。
|