2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655070
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
米蔵 誠哲 琉球大学, 理学部, 准教授 (60291100)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 石けん膜 / 流体デバイス / 電気泳動 / マランゴニ効果 / ブラウンラチェット |
Research Abstract |
石けん膜がそのユニークな構造・物性に基づく優れた流体デバイス機能を持つことを実証する萌芽研究である。平成23年度は提案した3つのデバイス機能の一つ「荷電分子の分離・抽出デバイス機能」の研究、および「輸送デバイス機能」の試験研究を実施した。1.水相・単分子膜相への分離法として「石けん膜による色素分子の電気泳動」を検討し以下の結果が得られた。(1)石けん膜(中性界面活性剤を使用)を用いた電気泳動によれば、1,2,4価のカチオン・アニオン色素を石けん膜中で電気泳動し、価数の違いで分離できることを実証した。(2)親水性色素については、移動度から見積もった拡散係数の値より、水相(グリセリン・ポリビニルアルコールを含む)で電気泳動されていることがわかった。(3)疎水性色素については単独ではせっけん膜を不安定化するため泳動できないが、有機液滴に含まれた状態なら泳動分離できることが分かった。これらの結果より小サイズの荷電分子については定量的な電気泳動分析が可能であることが示された。石けん膜によるDNAやたんぱく質の電気泳動については条件を検討中である。2.研究実施計画で提案した石けん膜マランゴニラチェットによる輸送デバイス機能に関連した試験研究(ロッキングラチェット)を実施した。三角形の擬2次元メラミンフォームに低振動交流電場を印加することで、色素イオンが電場に垂直な一方向へ優先的に移動することを実証した。この試験より得られた実験条件(泳動・拡散速度、ラチェットサイズ、電場の強度・周期)を元に石けん膜マランゴニラチェットを試験している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
提案した3つのデバイス機能の内、検出デバイス(光吸収エリプソメトリー検出)機能の検討が遅れている。これは当初想定していなかったが、パルスレーザー照射によって石けん膜に不規則な振動・流動が生じるためで、石けん膜の安定性向上と膜厚検出能が相反するため遂行が困難なためである。
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Strategy for Future Research Activity |
検出デバイス機能については、最終目的の細胞分析においても重要な単分子蛍光検出に重点を置いて検討を進める。細胞分析については比較的取扱いが容易な植物細胞プロトプラストの成分分析に着手する。輸送デバイスについては、今年度に続いてラチェット機構、マランゴニ効果を利用する方法を検討し研究をまとめる。また、新たにメモリ流体デバイス機能(液膜メモリスタ)も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の約80%は、細胞分析用のマニュピレータ-、メモリ流体デバイス機能を研究するための電気化学計測器機、および解析用PCの購入に充てる予定である。残りは試薬費、装置製作費、成果公表費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)