2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655076
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松田 直樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 生産計測技術研究センター, 上級主任研究員 (10344219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 英樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 生産計測技術研究センター, 上級主任研究員 (60356657)
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Keywords | 低電圧パルス放電 / 大腸菌 / 酵素 / 発色酵素基質法 / 吸収スペクトル |
Research Abstract |
細菌類検査キットでは酵素を機能を損なわずに細胞から取り出すため、超音波照射や界面活性剤等の薬品で細胞膜を破壊する化学的方法等が用いられるが、効率が低く機能喪失の可能性がある。我々は低電圧パルス(Low Voltage Pulse:LVP)を用いて細菌類に含まれる酵素を機能を損なわずに高効率に細胞外に取り出す方法を開発した。 平成23年度は基礎検討として大腸菌に含まれる酵素であるβ-D-グルクロニダーゼの活性を利用し5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-グルクロニド(X-gluc)の発色に伴う吸光度変化から本方法の有効性を検討した。培養後、比色計で濃度を約1億cfu/mLに調整した大腸菌を試料とした。カソードは5mmφのW平板、カソードはW針を用い、電極間は2 mmに固定した。試料溶液をセルに1mL分注し、5V、5Hz、1,000回のLVPを印加し37℃で保存し20時間後に吸収スペクトル測定を行ったところ、LVP処理を行っていない試料に比べて大きな吸光度の増加が観察され、本方法の有効性が示された。一方、10V以上の電圧を印加すると呈色反応が認められずLVP処理により酵素活性が失活させられていると考えられた。 LVP印加により酵素が大腸菌の細胞膜から取り出せている事を証明するため、平成24年度はLVP印加後に試料溶液を遠心操作で固形分と溶液成分に分離しそれぞれにX-glucを添加し吸収スペクトル変化を観察した。その結果、①溶液成分と固形分の吸光度増加はほぼ遠心分離を行っていない試料のそれとほぼ等しい事、②溶液成分の方が固形分より3倍程度大きい事、が分かり酵素が大腸菌から取り出せている事が分かった。また我々の実験条件では10V、5HzのLVPを印加すると10分で試料溶液が45℃程度まで温度上昇する事も分かりこれが酵素機能消失の原因と考えられることも分かった。
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Research Products
(6 results)