2011 Fiscal Year Research-status Report
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23655078
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荒井 孝義 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80272483)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 光反応 / 不斉合成・反応 / 錯体化学 / 合成化学 |
Research Abstract |
本挑戦的萌芽研究「光励起を基軸とする新立体化学の制御」では、研究代表者が開発に成功している触媒的不斉合成を中心とする反応開発と光化学を融合することで、従来法では得られない新規な立体ならびに分子骨格を有する特徴ある化合物を創出することを目指している。 研究初年度は、研究計画に従い、基質の光異性化(光平衡)を触媒反応に組み入れたワンポットで効率的な新規触媒的合成手法の開発をおこなった。 まず、研究対称には、予備的な知見の得られているインドールとニトロアルケンならびにアルデヒドを基質に用いるFriedel-Crafts/Henry反応を選んだ。本反応は、あらかじめtrans-ニトロアルケンをcis-ニトロアルケンに異性化させても行うことができるが、光異性化反応とFriedel-Crafts/Henry反応を同一フラスコ内で実施することにより、より効率的に収率良く新規な立体を有する化合物が得られることがわかった。 さらに、ニッケル触媒によるα、β-不飽和カルボニル化合物へのトリメチルシリルシアニドの付加反応の開発についても光励起による影響を検証した。この反応は、cis-エノンを用いると速やかに反応が進行し、高収率で目的化合物が得られるが、trans-エノンの場合には反応が進行しないことが分かっている。反応基質のエノンとニッケル錯体を混合すると可視領域に強い吸収をもって赤色を呈することから、該当波長の光をもって励起することで、cis-エノンに光異性化を行い、効率的で汎用性の高い触媒反応を実現した。これらの実験により、光異性化を効果的に触媒反応と融合することで、従来よりもすぐれた分子変換プロセスが可能になることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に合う光反応装置は、高圧水銀ランプ、電源、冷却ジャケットならびに遮光フードを本予算によって導入し、多くの反応条件を効率的に検討できるようになった。 特に、冷却部は、独自に冷却槽を作成することにより、比較的大容量で実用性優れた反応容器を複数同時に用いることができるように設計、独自の光反応システムとして構築できた。 初年度の研究目的も「研究実績の概要」記載のように、予備的な知見に立脚した着実な展開により、光反応によって新規な立体化学有する化合物を得るなど、所定の研究成果を得ることができた。 以上のように、初年度の研究は、ほぼ当初の研究計画通りに進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に得られた成果を基として、紫外や可視光を吸収する錯体触媒を光励起し、触媒の新機能の探索する研究を行う。適用可能な反応では、有機化合物を直接的に酸化や還元する反応のほかにも、遷移金属錯体に特有な「酸化的付加」や「還元的脱離」を素反応とする触媒反応にも光が影響することは多いに考えられることから、様々な反応様式における光エネルギー駆動触媒反応を検証し、その有用性・普遍性を確立したいと考えている。 例えば、パラジウム触媒の「光活性化」によって、ジエン系を効率的に酸化できれば、酸素官能基化されたπ-アリルパラジウムを中間体として生成することになり、その後の求核反応によって高度に官能基化された化合物を得るタンデム型反応も設計できる。また、平成24年度は、平成23年度の研究で最も有用性・実用性が高いと判断された反応を取り上げ、フローリアクター触媒反応装置を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究において、光化学反応を行うための基本装置は整備されたので、50万円以上の大型実験装置の物品購入は予定していない。但し、平成24年度は、光化学を組み入れたフローリアクター触媒反応装置を開発する計画であり、これらの部品の購入を予定している。 初年度は、研究の推進に集中したため、旅費の使用がなかったが、平成24年度は、研究成果を広く発信するために国際会議に出席して、研究成果の発表ならびに討論を行う計画である。
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[Presentation] Construction of Multiple Stereogenic Centers on Indoles and Pyrroles
Author(s)
Takayoshi Arai, Atsuko Awata, Makiko Wasai, Naota Yokoyama, Satomi Oyama, and Hiromichi Fujino
Organizer
The 6th International Conference on Cutting-Edge Organic Chemistry in Asia (ICCEOCA-6)/The 2nd New Phase International Conference on Cutting-Edge Organic Chemistry in Asia (NICCEOCA-2)
Place of Presentation
Hong Kong
Year and Date
平成23年12月11-15日
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