2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655078
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荒井 孝義 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80272483)
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Keywords | 不斉合成・反応 / 選択的合成・反応 / 光励起 / 金属錯体 / 触媒 / 光学活性 / 配位子 |
Research Abstract |
基質の光異性化を触媒反応に組み入れた研究において、ニトロオレフィン基質を用いる[3+2]-環化付加反応を行い、従来の手法では得られない立体を有する光学活性化合物の新規合成法を確立した。 また最終年度のおける成果としては、独自に開発したイミダゾリンアミノフェノール-ニッケル触媒の錯体構造をX線結晶構造解析により解明し、ニッケル-フェノキシド錯体であることを明らかにした。光励起は、ニッケル-フェノキシドの塩基性制御に寄与していることが示唆された。 一方、イミダゾリジンを配位官能基とする一連の金属錯体を開発し、その触媒活性に対する光励起の影響を精査した。イミダゾリジン-金属錯体では、イミダゾリジンの2級アミンが、窒素上のプロトンを維持して金属に配位している事が明らかになり、金属中心による反応活性種の発生に加え、金属近傍に位置するプロトンが基質の活性化や配向性を制御している機構を見いだすことができた。本イミダゾリジン-金属錯体においては、光励起は金属元素の励起による酸化-還元電位の変化に加え、プロトンの酸性度にも複合的に影響を及ぼしているものと考えられる。 これら本研究の推進により、新規な生物活性が期待できるスピロキシインドール化合物や非対称ビスインドール化合物の触媒的不斉合成に成功した。特に、今回の研究で創出した非対称ビスインドール化合物からは、Wntシグナリング阻害活性を有するものが見いだされたことは、想定以上の成果である。
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Research Products
(27 results)