2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ・ナノバブルを用いた金属フリー過酸化水素合成による不斉酸化反応の開発
Project/Area Number |
23655079
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
間瀬 暢之 静岡大学, 工学部, 准教授 (40313936)
|
Keywords | マイクロナノバブル / 過酸化水素 / 金属フリー / 気-液反応 / 気-液-固反応 / 酸化反 / 還元反応 / アントラキノン法 |
Research Abstract |
酸化反応を安全・クリーン・低エネルギーで進行させることは、生産性・安全性を向上し、消費エネルギーの削減につながることから、持続可能な社会を構築する上で重要である。過酸化水素は原子利用効率が高く(47%)、副生成物が水だけのクリーンな酸化剤である。過酸化水素の主な工業的合成法として、アントラキノン法が利用されている。この手法のメリットは高濃度の過酸化水素を合成できることであるが、鍵反応である接触水素化の工程は気相-液相反応であるため、従来法では加熱、高圧条件を必要としてきた。また、コスト低減のため一度に大量の過酸化水素を合成することが望まれるが、貯蔵、運搬が必要となり、安全面を考慮すると爆発性の過酸化水素を高濃度で大量に保有するリスクは避けるべきである。 本研究では気液界面を効率的に増大させるマイクロナノバブルに着目し、マイクロナノバブルを用いた気相-液相反応により、常温・常圧下、その場 (オンサイト)での過酸化水素合成を検討した。アントラキノン法での過酸化水素合成について、水素雰囲気下(Balloon)、水素バブリング(Bubbling)、水素マイクロナノバブル (Micronanobubble)の3種類の気体導入手法について比較検討を行った。その結果、マイクロナノバブル発生装置を用いた場合、2倍以上の反応性で過酸化水素を生成した。これはマイクロナノバブルを系中に発生させることで、cm-mmバブリングよりも液相中に高度に水素が分散、溶解し、溶存水素濃度が増加したと考えられる。高い溶存水素濃度を維持したことにより、アントラキノンの接触水素化反応が促進され、続くアントラヒドロキノンの自動酸化工程を経て生成される過酸化水素の収率が向上したと推察される。さらに、生成した過酸化水素の酸化反応への活用した結果、種々の反応への適応が可能であり、過酸化水素利用のオンサイト合成を達成した。
|