2011 Fiscal Year Research-status Report
不斉イオン対形成を鍵とした炭素ー炭素結合形成反応の確立
Project/Area Number |
23655083
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 章夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 理事 (20144438)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 有機化学 |
Research Abstract |
申請者が最近、報告した三価インジウム触媒を利用する様々なSN1型炭素-炭素結合形成反応(Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 1414. Angew. Chem., Int. Ed. 2006, 793. Org. Lett. 2007, 4931. Tetrahedron, 2009, 5462. Angew. Chem., Int. Ed. 2009, 9131.)を元にして、提案する不斉反応の検討を行った。まずは、モデル反応として臭化インジウム触媒による有機塩化物とシリルエノラートのカップリング反応を選択した。この反応は低温でも進行することがわかっているので、初期の反応条件検討には適した反応系である。不斉アニオンとしては、アルコキシドアニオンやリン酸イオンなどを用いた。以上のように、初年度で不斉アニオンとカウンターカチオンの最適化を行い、次年度につながる重要な知見が得られた。それらの知見は以下の通りである。まずは不斉アニオンではなく、ラセミ体のアニオンを用いて反応の条件の探索を行った。予想通り、アニオン存在下でもカップリング反応は低温で進行した。このアニオン存在下でも反応が上手く進行することは本研究達成の上で最も重要な前提条件である。続いて、不斉アニオンを用いて検討したが、不斉収率は芳しくなかった。今後は不斉アニオンの検討を中心に行っていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究達成の最大の前提条件であるモデル反応の低温条件下での進行はすでにクリアしている。あとは、最適な不斉アニオンの検討を行うことができれば、当初の目標は達成できる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度で決定したモデル反応の最適条件を基にして、最適な不斉アニオンとカウンターカチオンの塩を検討し、さらに、他のSN1型炭素-炭素結合形成反応へと展開する。まずは申請者が三価インジウム触媒で達成している反応への展開を行う。求電子種としては、アルコール、エーテル、アセテートなどへの展開を行い、求核種としてはアリルシラン、アルキニルシランなどのケイ素求核種を中心に検討する。それぞれの反応の条件検討の際には必要に応じて、不斉アニオンの置換変換やカウンターカチオンの検討など柔軟に最適条件を探索する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新規反応の確立を目標としているため、実験的および論理的な検証を多数行う必要があり、大半の費用は実験に関するものと解析に関するものに充てる予定である。研究計画で述べたように本研究では様々な金属塩を用いて反応探索を行う必要がある。金属塩の多くは高価な化合物が多く、購入には多額の費用が必要である。また金属塩同様に、多種多様な有機化合物や金属求核種の購入が本研究には必須である。したがって、本助成の一部を薬品購入に当てる予定である。
|