2012 Fiscal Year Annual Research Report
不斉イオン対形成を鍵とした炭素ー炭素結合形成反応の確立
Project/Area Number |
23655083
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬場 章夫 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (20144438)
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Keywords | 有機合成反応 / 触媒反応 |
Research Abstract |
不斉反応は天然物合成や医薬品合成も含めて工業的にも必須の技術となっている。そのため、数多くの手法が開発され、現在でも多くの研究者によって精力的な研究が進められている。しかし、不斉反応がほとんど達成されていない分野の一つに、カルボカチオン中間体を経由するSN1型炭素-炭素結合形成反応がある。カルボカチオンは不安定で反応性が高いため立体選択的な反応は非常に困難である。しかし、SN1型反応は有機合成において一般的かつ重要な手法である。故に、不斉反応の開発はインパクトが大きい急務の課題である。 従来困難であった不斉SN1型炭素-炭素結合形成反応の達成を目的とする。不斉アニオンを添加することによりカルボカチオン中間体と不斉アニオンが相互作用し、強固な不斉イオン対(不斉反応場)が形成する点を鍵段階とする不斉反応の確立を目指す。本研究が達成されれば、新規な不斉反応場形成の手法が確立されることとなり、不斉反応分野の発展に直結する。不斉反応は天然物合成や医薬品合成に欠かせない手法であり、不斉反応の発展は、学術的にも産業的にも重要な課題となっている。 不斉反応に最適なモデル反応として、アルコール誘導体とエノールアセテートとのSN1型炭素-炭素結合形成カップリング反応を見出した。本反応は触媒量のインジウム塩で反応が進行し、室温でも高収率で生成物が得られた。また、官能基選択性も高く様々な反応基質が適用可能である。アルコール誘導体としてもアルキルエーテル、アルキルアセテートやシリルエーテルなど様々な基質を用いることが可能であった。
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