2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波照射の特異効果の検証と有機合成反応への新展開
Project/Area Number |
23655089
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 徹 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40296752)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / マイクロ波 / 選択的合成 / 不斉合成 |
Research Abstract |
マイクロ波照射による反応エネルギーの供給を利用する有機合成反応は反応時間の大幅な短縮のほか,収率の向上も期待される場合もあることから近年効率的な合成手法として広く注目を集めており,多くの反応例が報告されているとともに安全性を十分に確保した反応装置も市販され実用的な利用も始まっている。マイクロ波照射による反応加速効果は,一般には反応系内部からの迅速の加熱によるものとして理解されているが,単純な熱的効果だけでは説朋できない現象も見出されており,いわゆる「非熱的効果」ないし「特異効果」として議論の対象となっている。我々は最近,銀-BINAP触媒による動的速度論的光学分割を伴うビアリールラクトン類の触媒的アトロプ不斉メタノリシス反応において,マイクロ波照射によりエナンチオ選択性の低下を伴うことなく大幅に反応が加速されることを報告した。一般に不斉合成反応では反応温度に伴いエナンチオ選択性が低下し,本反応でも高い反応温度ではエナンチオ選択性が低下することを碓認しており,マイクロ波照射における反応加速効果が反応系内の単なる温度上昇によるものではないと考え研究に着手した。今回,マルチモード型マイクロ波反応装置を用いて,照射条件と温度制御条件下の反応をそれぞれ同一時間で行い,収率を比較することでより厳密にこの効果の検証を行った。その結果複数の基質においてエナンチオ選択性を損なうことなく反応加速が確認された。さらに多数回の実験からアレニウスプロットを作成し,反応温度とエナンチオ選択性との関係を詳細に検討した結果,マイクロ波照射による反応加速が単なる温度上昇によるものだけではないことを検証した。この反応加速の機構として(1)反応点近傍の微小領域の温度と反応系全体のバルク温度の差異に依る,(2)アトロプ異性平衡を含む特定の分子の自由度の活性化に起因する,などの作業仮説のもと,検証実験を継続中である。
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Research Products
(1 results)