2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規な空間制御法によるカゴ型有機化合物の触媒的不斉合成
Project/Area Number |
23655091
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 高範 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80265735)
|
Keywords | 面不斉 / 大環状化合物 / カゴ型化合物 / 不斉触媒 / 不斉認識 |
Research Abstract |
面不斉パラシクロファンは、構造的にユニークなキラル素子として、長年研究されている。その応用例が不斉配位子としての利用であり、PHANEPHOSに代表される[2.2]パラシクロファン骨格を有する化合物群は、他の中心不斉や軸不斉を有する配位子群とは異なる立体選択性を達成している。しかし[2.2]パラシクロファン以外の面不斉骨格を有するパラシクロファンの不斉合成及び不斉反応への展開例は極めて少ない。そこで私は、当研究室で開発されたオルトリチオ化による面不斉パラシクロファンの高エナンチオ選択的合成法を用いて、新規な[n]パラシクロファン骨格を有する光学活性リン化合物を不斉合成し、さらに不斉配位子としての適用を試みた。 まず、高い鏡像体過剰率で得られた面不斉ジオキサパラシクロファン骨格を有するモノホスフィンならびにジホスフィンを、既に当研究室で開発したパラジウム触媒を用いるアキラルなジヨードパラシクロファンの連続的不斉Sonogashiraカップリングに用いた。その結果、モノホスフィン、ジホスフィンいずれの場合もエナンチオ選択的に反応が進行した。特に、架橋鎖の炭素数が9であるパラシクロファンを用いた場合、市販の不斉配位子群の中で最も高い選択性を実現したTaniaphosを上回る不斉収率(86% ee)を達成した。 次に、市販の不斉配位子群では、低不斉収率であった連続的不斉Suzukiカップリングにおいても、ジオキサパラシクロファン骨格を有するホスフィン配位子を検討した。その結果、最高で93%の鏡像体過剰率でキラルパラシクロファン生成物を得ることができた。 以上の結果により、当研究室で開発した手法により独自なキラルホスフィン配位子群を創製し、さらに、それらの不斉配位子としての有用性を示すことができた。
|
Research Products
(6 results)