2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655092
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中野 環 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (40227856)
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Keywords | πスタック構造 / 導電性ポリマー / アニオン重合 / ラジカル重合 / チオフェン / 立体構造 / ジベンゾフルベン |
Research Abstract |
チオフェン含有πスタック型ポリマーの原料となるモノマーとして4-メチレンシクロペンタ[2,1-b;3,4-b']ジチオフェン(MCPDT)の合成法を確立した。3-ブロモチオフェンとn-BuLiの反応により3-リチオチオフェンを調製し、これをチオフェン-3-カルバルデヒドと反応させてジ(3-チエニル)メタノールを得た。これをヨウ素化してビス(3-(2-ヨウ化チエニル))メタノールとしたのち、PCCでアルコール残基を酸化し、さらに銅触媒により縮環させてシクロペンタ[2,1-b;3,4-b']ジチオフェン-4-オンを合成した。これにMeMgBrを加えて、4-メチルシクロペンタ[2,1-b;3,4-b']ジチオフェン-4-オールとした後にp-TsOHを用いて脱水し、MCPDTを得た。MCPDTをn-BuLiを用いてアニオン重合したところ効率よくポリマーが得られた。また、ラジカル重合でもポリマーが得られた。いずれの重合法で得られたポリマーもπスタック型構造を有することを明らかにした。但し、 研究を通じて、MCPDTモノマーは空気中の酸素と反応してビニル型でない構造を有する高分子を与えることが見出されたため、モノマーの保存・及び重合反応は窒素下で行う必要があることが分かった。アニオン重合およびラジカル重合のいずれでもπスタック型の高分子が得られたが、ラジカル重合体のほうが若干コンホメーション選択性が低いことが示唆された。加えて、ラジカル重合体はアニオン重合体に比べて良好な溶解性を示した。これは、わずかな構造の乱れによって分子鎖聞の相互作用が弱くなったためと推定される。 さらに、新しいπスタック型高分子として側鎖にメトキシエトキシ基を有するポリジベンゾフルベン誘導体の合成に成功した。この高分子は無置換体に比べてはるかに高い溶解性を示した。
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Research Products
(4 results)