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2011 Fiscal Year Research-status Report

水中での脱水縮合による多糖合成

Research Project

Project/Area Number 23655094
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

正田 晋一郎  東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10143364)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywordsキトヘプタオース / キチナーゼ / 糖オキサゾリン
Research Abstract

キチンを低分子化したキトオリゴ糖のうち、重合度7程度のキトオリゴ糖は植物の生態防御機構におけるエリシター活性を有する物質として注目されている。近年、糖転移活性を持つキチナーゼによるキトオリゴ糖の調製法が研究されているが、6量体以上の効率的な調製法はいまだ確立していない。すでに、キチナーゼの遷移状態アナログ基質である糖オキサゾリン誘導体が、塩化2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリウム(DMC)を用いることにより、一段階で簡便に合成できることを示した。本研究の目的は、DMCを用いてキトオリゴ糖をオキサゾリン化し、キチナーゼ触媒による糖転移反応によって、重合度7のキトオリゴ糖を選択的に合成することにある。キトビオース((GN)2) 、キトペンタオース((GN)5) のオキサゾリン誘導体 (GN)2-oxa、(GN)5-oxa をドナーとして用い、それぞれ (GN)5、(GN)2をアクセプターとする糖転移反応を行った。反応触媒には、基質や糖転移生成物の加水分解を抑えるために部位特異的変異導入を施した変異型キチナーゼW433Aを用いた。その結果、ドナーに(GN)2-oxa、アクセプターに(GN)5を用いた場合、(GN)3や(GN)4といったピークが主に観測され、目的生成物である(GN)7のピークはほとんど見られなかった。これは、本来(GN)2-oxa が入るべきドナーサイトにアクセプターである(GN)5が取り込まれてしまい、糖転移反応よりも加水分解反応が優先した結果であると考え、次に、ドナーに(GN)5-oxa、アクセプターに(GN)2を用いたところ、ほぼ選択的に(GN)7を合成することに成功した。また、本研究を遂行中に、N-アセチルグルコサミンの脱水縮合がα選択的に進行することを見出し、その応用としてピロリ菌抑制作用を有するαで結合したオリゴ糖の合成にも成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究における合成目標化合物であるキトヘプタオースを効率よく合成する際、ドナーとアクセプターの重合度の組み合わせが重要である。当初の予測では、キチナーゼに存在するサブサイトの構造から、キトペンタオースをドナーに、キトビオースをアクセプターにするのが最も効率的であると考えられた。実際に、反応を詳細に検討した結果、予想通り、キチナーゼをテンプレート分子として用いて、キトペンタオースのオキサゾリン誘導体に対してキトビオースを付加させると、目的とするキトヘプタオースが選択的に得られた。しかし、ドナーの重付加体もわずかに副生しており、これらの生成を抑えることが今後の課題として残されている。以上のことから、本年度の研究は、ほぼ順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

初年度において、Bacillus circulans WL-12由来キチナーゼA1(ChiA1)を採用し、糖ドナーとしてキトペンタオースのオキサゾリン誘導体(GN)5-oxa、および、糖アクセプターとしてキトビオース(GN)2を用いることによって、キトヘプタオース(GN)7が効率的に合成可能であることを報告した。しかし、キトペンタオースのオキサゾリン誘導体は不安定であるため、単離精製時に一部キトペンタオースに戻ってしまう。したがって、オキサゾリン化反応の後速やかにキチナーゼによる配糖化反応に用いる必要がある。次年度では、糖オキサゾリン化反応および配糖化反応をOne-potで反応を行うことがキトペンタオースのオキサゾリン誘導体を有効利用する手段と考え、その最適化条件について検討する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成23年度において、本研究における標的化合物であるキトヘプタオース(7糖)を合成する原料として、キトペンタオース(5糖)およびキトビオース(2糖)の他に、キトトリオース(3糖)ならびにキトテトラオース(4糖)を予定していた。しかし、それらを購入する以前に、キトペンタオースとキトビオースの組み合わせが良好であることが、実験を通して明らかとなった。したがって、7糖を合成するために3糖や4糖を購入する必要が無くなり、最終的にこれら購入予定であったオリゴ糖の単価に、その必要量を乗じた金額が平成23年度の残額となった。平成24年度においては、ドナーの原料となるチトペンタオースの購入あるいはその調製に必要なカラム類を購入する。また、オキサゾリン化反応に必要不可欠な水溶性脱水縮合剤DMCを購入する。さらに、アクセプターであるキトビオースを購入する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Book (1 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results)

  • [Journal Article] Direct Dehydrative Pyridylthio-Glycosidation of Unprotected Sugars in Aqueous Media Using 2-Chloro-1,3-dimethylimidazolinium Chloride as a Condensing Agent2011

    • Author(s)
      N. Yoshida, M. Noguchi, T. Tanaka, T. Matsumoto, N. Aida, M. Ishihara, A. Kobayashi, S. Shoda
    • Journal Title

      Chem. Asian J

      Volume: 6 Pages: 1876-1885

    • DOI

      10.1002/asia.201000896

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Protection-Free Glycosylation2011

    • Author(s)
      S. Shoda
    • Organizer
      Asian Communications of Glycobiology and Glycotechnology(招待講演)
    • Place of Presentation
      Shanghai (China)
    • Year and Date
      28th October, 2011
  • [Book] バイオ医薬品開発における糖鎖技術2011

    • Author(s)
      正田晋一郎、野口真人
    • Total Pages
      96-105
    • Publisher
      シーエムシー出版
  • [Patent(Industrial Property Rights)] N-アセチルグルコサミンがαで結合した糖誘導体の調製方法2011

    • Inventor(s)
      藤田雅也、土田明子、正田晋一郎、田中知成
    • Industrial Property Rights Holder
      藤田雅也、土田明子、正田晋一郎、田中知成
    • Industrial Property Number
      特許: 特願2011-190079
    • Filing Date
      2011年08月31日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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