2013 Fiscal Year Annual Research Report
新しい非対称構造パラジウム触媒によるジエンの環化重合反応の遠隔立体制御
Project/Area Number |
23655098
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小坂田 耕太郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (00152455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 大介 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (90311662)
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Keywords | パラジウム錯体 / 環化重合 / 立体選択性 / 低対称構造 |
Research Abstract |
昨年度までに合成した低対称型パラジウム錯体を触媒とするオレフィン重合、ジエンの環化重合を行った。その結果、相当程度のアイソタクチック選択性をもつ高分子を得ることができた。 今年度は、パラジウム及びニッケル錯体触媒を環状配位子を用いて積層二核化し、新しい構造の二核パラジウム、ニッケル錯体の構造を明らかにするとともに、その触媒活性を検討した。エチレンと末端ジエンとの共重合においては、ニッケル錯体がすぐれた反応性を示し、ジエンの分子鎖長によって反応性、反応生成物の構造の両方が変化することがわかった。この錯体では配位平面上下が非対称であり、低対称構造の触媒ということができる。 この構造上の特性を生かして、適当なレベルでのジエン取込みと環化重合が進行したといえる。パラジウム錯体触媒を用いるとエチレンとアクリル酸エステルとの共重合が円滑に進行した。特筆すべき点として、分岐状の高分子の分子鎖にアクリル酸エステルが導入され、かつその密度が高いことがわかった。この構造上の特徴によって、本高分子は引っ張りに強い膜成形が可能であり、通常の錯体触媒を用いて得られる高分子が油状化するか、脆い固体になることと対照的である。さらに、得られた共重合体膜のヤング率を測定したところ、従来知られていたエチレン-アクリル酸エステル共重合体に比べて十分に高いヤング率を示することが明らかになった。 昨年までに研究を行った平面錯体の低対称構造をもつ触媒に加えて、二核錯体にすることで、低対称構造をもつオレフィン重合触媒が開発できた。
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