2012 Fiscal Year Annual Research Report
室温で液晶性を示す両親媒性高分子の合成と水中での自己集合体形成
Project/Area Number |
23655107
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
宮田 隆志 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (50239414)
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Keywords | 液晶性高分子 / 両親媒性高分子 / 自己集合 / 高分子ミセル / メソゲン基 / 臨界ミセル濃度 / DDS / 相転移 |
Research Abstract |
本研究では,室温付近で液晶性を示す新規な両親媒性液晶高分子を合成し,水中における高分子ミセル形成とその医療応用を目的としている。本年度は,水中におけるPEG-g-LCPの自己集合体(高分子ミセル)形成を中心に調べ,液晶高分子ミセルの薬物キャリアーとしての有用性も検討した。その結果,本年度は以下のような研究成果が得られた。 (i) 水中における両親媒性液晶高分子のミセル形成 平成23年度と同様の方法で両親媒性液晶高分子(PEG-g-LCP)を合成し,それを所定の溶媒に溶解させた後,溶媒交換を利用した透析法によって水中でPEG-g-LCPの自己集合体(高分子ミセル)を形成させた。その際に,溶媒の種類や濃度などの条件を変化させ,PEG-g-LCP高分子ミセルを形成させるための最適条件を見出した。次に,動的光散乱法(DLS)を用いて高分子ミセルのサイズを決定し,原子間力顕微鏡(AFM)などを用いてその形状観察を行った。また,ピレンなどの蛍光プローブの高分子ミセル中への取り込み状態を蛍光強度変化から調べ,PEG-g-LCPの臨界ミセル濃度(CMC)を決定した。 (ii) 両親媒性液晶高分子ミセルの温度応答性 DLSを用いて様々な温度でPEG-g-LCP高分子ミセルの粒径を測定し,液晶-等方相転移温度付近で粒径が大きく変化することがわかった。また,ピレンの蛍光強度変化からPEG-g-LCP高分子ミセルのCMCを測定し,温度によってCMCが大きく変化することが明らかとなった。このような液晶高分子ミセルのコア部分に疎水性薬物を含有させ,温度変化による相転移を利用した薬物放出制御も試みた。その結果,両親媒性液晶高分子ミセルを用いると,その液晶-等方相転移温度で薬物放出が大きく変化した。したがって,両親媒性液晶高分子ミセルは温度変化により薬物放出制御できるDDSキャリアーとしての応用が期待できる。
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