2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655109
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 貴義 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (60270790)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 分子ローター / 一方向回転 / クラウンエーテル / 超分子 |
Research Abstract |
強相関電子系を形成する単結晶内に超分子ローター構造を構築し、ブラウンラチェット機構による一方向回転の実現、およびエネルギー変換のための基礎物性評価を行うことを目標とし、以下の項目について順次検討を行う。1,2を期間内に達成することを目指すとともに、3,4の可能性を評価する。1. 超分子ローター構造のパーツとしてキラルなクラウンエーテル等を用いることで、ノコギリ歯型ポテンシャルを導入する。(必要条件1)2. 置換アニリニウム等、ダイポールをもつ回転子を導入し、外部電場により分子回転を摂動できる仕組みを用意する。(必要条件2)3. 光学測定や熱力学測定を駆使して、一方向回転を検証する。4. 分子回転に伴う磁性・電気伝導性の異常を評価し、それを端緒としてエネルギー変換素子構築への道筋を示す。 23年度については、非対称ポテンシャルの導入およびダイポールを持つ回転子の導入を中心に検討を進めた。 クラウンエーテルの分子設計により非対称ポテンシャルの導入を試みた。dicyclohexano[18]crown-6は、4つのキラルセンターを持っているため、meso体を用いても結晶内で歪むことによりノコギリ型ポテンシャルを形成する可能性がある。そこで、trans-syn-trans型のdicyclohexano[18]crown-6誘導体を新たに合成し、結晶内への導入を行った。また、ダイポールを持つ回転子として、m-fluoroaniliniumを選び、結晶作製を行った。得られた結晶は、複雑な構造を持ち、現在引き続き構造評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、meso体であるtrans-syn-trans型のdicyclohexano[18]crown-6誘導体を合成し、m-fluoroaniliniumとともに結晶内へ導入することが出来た。結晶構造解析は終了していないが、有望な系を見出したことは、今後の研究進捗に大いに資するところがある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に推移しているので、引き続き、trans-syn-trans型dicyclohexano[18]crown-6/m-fluoroaniliniumの系を検討するとともに、キラルなクラウンエーテルであるtrans-anti-trans型のdicyclohexano[18]crown-6を合成し、同様の検討を進める。これらに検討を通じて、一方向回転への糸口をつかむ。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度未使用額については、平成23年度中に納品し、支払いが次年度になった消耗品の支払いに使用する。
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Research Products
(12 results)