2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体マイクロチューブの重合ダイナミクスの可逆的光制御と擬似細胞マシン創製への応用
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23655111
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深港 豪 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (80380583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 信之 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00344218)
亀井 敬 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (90450650)
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Keywords | 微小管 / モータータンパク / フォトクロミズム / アゾベンゼン |
Research Abstract |
本研究は我々が最近偶然にも見出したアルキル鎖とアミノ酸の一つであるリジン基を両端に有する両親媒性のアゾベンゼン誘導体が、トランス体の状態では微小管を著しく不安定化し、光異性化したシス体では重合を阻害せず微小管が形成されるという現象をさらに発展させ、そのメカニズムの解明および光で駆動する擬似細胞マシンの創製へと繋げていくことを目的としている。 本年度の研究では、置換基の種類や置換位置が異なる種々のアゾベンゼン誘導体を合成し、微小管タンパク質の重合-脱重合挙動の光スイッチング能に及ぼす分子構造の影響をin-vitroで検討し、光スイッチング挙動に対するメカニズムに対する考察を行った。その結果、アゾベンゼンの一つのパラ位にリジン基のようなカチオン性のアミノ酸を有し、反対のパラ位に疎水性の置換基を有するときに、トランス体の状態における微小管の不安定化、および光異性化に伴う可逆的な微小管重合ダイナミクスの光制御が達成できることを明らかとした。これにより、光スイッチング機能を有する微小管重合阻害剤を設計する上での明確な分子指針が得られた。 さらに開発したアゾベンゼン誘導体が生細胞中の微小管にどのような影響を与えるのかを検討した結果、in-vitroにおいて顕著な微小管の脱重合挙動が観測されるアゾベンゼンを投与した生細胞は投与後15分程度で内部の微小管の構造が完全に確認されなくなり、細胞骨格の形態も大きく変形することが認められた。一方、in-vitroで微小管の脱重合挙動が観測されないアゾベンゼン誘導体を投与した場合、投与後1時間経過しても細胞内部の微小管や細胞骨格の形態に変化は認められなかった。このことから、in-vivoにおいてもin-vitroと同様のメカニズムで微小管の脱重合が誘起されている可能性が示唆され、擬似細胞マシン創製への足がかりとなるデータが得られた。
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Research Products
(10 results)