2012 Fiscal Year Annual Research Report
酵素類似機能を発現するゼオライト細孔空洞とカルボカチオンの炭素-炭素開裂反応
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23655122
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
馬場 俊秀 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (50165057)
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Keywords | ゼオライト / 細孔空洞 / カルボカチオン / 選択性 |
Research Abstract |
本年度は,「ゼオライトの細孔空洞(キャビティー)の大きさとカルボカチオンの大きさが一致すると,その特定のカルボカチオンの炭素-炭素結合が選択的に開裂する」というコンセプトを提案するために,ペンテンからエチレンプロピレンへの転化を取り上げ,エチレンおよびプロピレンの選択性に及ぼすゼオライト細孔空洞容積の影響を調べた。 2-ペンテンおよび2-メチル-2-ブテンの分解反応を細孔入り口径,および細孔空洞容積の異なる 8-,10-,12-員環ゼオライトを用いて行なった。プロピレンおよびエチレンへの選択性に及ぼす細孔入り口径の影響を調べたところ,細孔入り口径の大小では,プロピレンの選択性を説明することができなかった。 一方,プロピレンとエチレンへの選択率は,細孔空洞容積で説明することができた。両者の選択率はゼオライトの種類によらず,ペンチルカチオンの大きさと細孔空洞容積が一致したときに,選択的にペンチルカチオンの開裂反応が起こることが分かった。即ち,この結果は,プロピレンとエチレンの選択率は,細孔空洞容積によって決まることを示している。 上記の結果は,これまで行なってきたエチレンやブテンからのプロピレン合成反応において,プロピレンが選択的に生成するには,反応中間体の大さと細孔空洞容積の大きさが一致すること重要であるという従来の結果と同じであった。このことからゼオライトを触媒としたとき,選択性が反応中間体の大きさと反応場の大きさによって決まるとうい新しいコンセプトを提案する。
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