2012 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミズムと酸塩基反応の協同効果による溶解性の制御
Project/Area Number |
23655123
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
横山 泰 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (60134897)
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Keywords | フォトクロミズム / ジアリールエテン / フェナントロリン / 酸塩基反応 / 溶解性 |
Research Abstract |
平成24年度は、フェナントロリンが両側に接続したジアリールエテン以外に、9-フェニルフェナントロリンが両側に接続したジアリールエテン(1)、ビピリジルが両側に接続したジアリールエテン(2)、および2-(2-インドリル)-6-ピリジル基が両側に接続したジアリールエテン(3)を合成した。これらについてシュウ酸および他のジカルボン酸との反応を試みたが、いずれも沈殿を生成せず、開環体で塩が析出し、環化体で溶解する現象はフェナントロリンの化合物に特有であることが分かった。膜透過性を制御できる系に適用する試みについては、現在も研究継続中である。シュウ酸と共に凝集・析出している物質がどのような構造をとっているかということについては、固体NMRを用いて検討したがまだ確実な答えは得られていない。 研究期間全体として、光照射によって溶解性を制御し、波長1000nm程度の光の透過・反射を繰り返し光制御できるジアリールエテンの系を構築できた。無色体ではシュウ酸添加によって沈殿が生じ、すべての波長域の光を乱反射して光を透過させないが、光照射によってジアリールエテンが青色の着色体になると、紫外部から可視部の光は透過をさえぎられるが、1000nm程度より長波長の光は吸収がなく、また系中の固形物質は溶解しているので乱反射が生じず、透過できる。1000nm付近は、生体における光の窓として機能しうるので、この領域の光の透過・遮断を光制御できる。 今後は、この現象を固体フィルム中で起こせる系を構築することと、物質の膜の透過を光で制御できる系に発展させる計画である。
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