2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタルフリーな磁性エマルジョンや磁性リポソームの合成と磁場制御
Project/Area Number |
23655127
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 類 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60207256)
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Keywords | メタルフリー磁性ソフトマテリアル / 磁性ミセル / 磁性エマルション / 磁性ヒドロゲル / ラジカルヒドロゲル / 両親媒性ラジカル化合物 / 正の磁気液晶効果 / 電子スピン共鳴分光法 |
Research Abstract |
本研究期間内に、ドラッグデリバリー用のメタルフリー磁性キャリアーやMRI造影剤用のメタルフリー磁性粒子の開発を目指して、界面活性を示す両親媒性の有機ニトロキシドラジカル物質の合成とそれらを用いる磁性ミセルやエマルションの調製を検討した。 これまでに6種類の新規化合物を合成し、それぞれについて、水中でいかなる分子会合構造をとるかについて、電子スピン共鳴(EPR)分光法と動的光散乱(DLS)法を用いて調査を行った。その結果、末端にトリメチルアンモニウム基を親水性基として有するラセミ体の両親媒性化合物が、市販のイオン性界面活性剤と比較して、水中でより安定なミセルやエマルションを形成することが明らかとなった。特に、ある程度粘性のある中性の油性ニトロキシドラジカルを内包したマクロ(粒径1~2 mm)およびナノ(粒径100 nm)エマルションが、水中やリン酸緩衝液中で長期間安定に存在し、前者のマクロエマルションが弱い永久磁石に引きつけられて水や緩衝液中を自由に動くことを観察した。一方、末端にアミノ酸残基を親水性基として有する光学活性な両親媒性化合物が、ヒドロゲルを形成することを明らかにした。ゲルの網目構造をSEM、TEM、およびAFMの顕微鏡観察により確認した。また、EPR分光法により、ゲル-ゾル転移温度を正確に測定した。さらに、ゲル中よりもゾル中で、より強い分子間磁気相互作用が発現することを観察した。 上記2つの結果は、研究代表者らが発見した、有機ラジカル液晶相中で発現する「正の磁気液晶効果」と類似の現象が、磁性エマルション中や磁性ゾル中でも発現することを示した最初の例である。
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