2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655129
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小島 秀子 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20304644)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 分子機械 |
Research Abstract |
結晶状態でフォトクロミズムを示すアゾベンゼン、サリチリデンアニリンなどの結晶は、光を当てると可逆的に屈曲運動するフォトメカニカル機能を有することを明らかにしてきた。本研究においては更に進化させて、結晶を集積化し、光によってメカニカルに動く、「クリスタルマシン」の構築を目指す。光を運動エネルギーに直接変換できるクリスタルマシンが実現すれば、電気配線の必要がなく装置の遠隔操作、小型軽量化も可能となり、多様な応用への展開も期待できる。 一つの単結晶では屈曲しても、通常、昇華などにより作製した結晶は、基板上でランダムな方向を向くため、集合体としては屈曲を示さない。このため、微結晶の方向を揃える集積化を検討する必要がある。平成23年度は、微結晶の集積化として、磁場を用いた微結晶の配向制御を検討した。その結果、ポリマー膜へのアゾベンゼン、サリチリデンアニリンのフォトメカニカル結晶の磁場配向制御に成功した。得られたポリマー膜に光照射すると、膜全体が屈曲することを明らかにし、クリスタルマシン実現に向けての要素技術を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、クリスタルマシンを構築するために不可欠な要素技術として、微結晶のポリマー膜への磁場配向制御による集積化について検討した。その結果、4-ジメチルアミノアゾベンゼンの薄板状微結晶を液状シリコーン樹脂に懸濁させ、平らな基板上に薄く広げて8Tの磁場中に1時間静置し、熱処理を行うと、微結晶の長さ方向が磁場方向に対して垂直に配向したポリマー膜が得られた。この膜に紫外光を照射すると、光源とは逆側に曲がり、照射を止めると元の平らな形に戻る屈曲運動を繰り返すことがわかった。 キラルなサリチリデンアニリンについても同様に、磁場配向ポリマー膜が得られ、光屈曲を示した。これらのポリマー膜の光屈曲挙動は、それぞれの単結晶の屈曲挙動と類似しており、それぞれの微結晶が屈曲することにより、シリコーン膜全体が屈曲することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
アゾベンゼン、サリチリデンアニリンなどのフォトクロミック化合物は、通常、電気双極子モーメントをもち、結晶化しても電気的偏りがあるため、電場をかけると結晶は一定の方向に揃う可能性がある。このため、平成24年度は、結晶の磁場配向ポリマー膜の作製を継続しつつ、電場による結晶の配向制御も検討する予定である。 また、24年度からは、光で動くクリスタルマシンの作製のために、微結晶集積ポリマーフィルムに照射する光の波長、光の強さ、光の方向などを変えてメカニカル特性を詳細に調べる。実際のクリスタルマシンとして使用するには耐久性が重要であり、繰り返し屈曲の耐久性については厳しく評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、主としてフォトクロミック化合物を合成するための試薬、結晶の集積化ポリマー膜作製のための器具、その他ガラス器具等の消耗品の購入、学会発表旅費等に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(14 results)