2012 Fiscal Year Research-status Report
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23655129
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小島 秀子 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20304644)
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Keywords | 分子結晶 / 分子機械 / メカニカル機能 |
Research Abstract |
これまで代表的なフォトクロミック結晶であるアゾベンゼン、サリチリデンアニリンなどの結晶は、光を当てると屈曲運動するフォトメカニカル機能を有することを明らかにしてきた。本研究はさらに進化させて、フォトメカニカル結晶を集積化し、光によってメカニカルに動く、「クリスタルマシン」の構築を目標としている。光を運動エネルギーに直接変換できるクリスタルマシンが実現すれば、電気配線の必要がなく装置の遠隔操作、小型軽量化も可能となり、多様な応用への展開も期待できる。このための要素技術として、メカニカル結晶の磁場による配向制御を検討し、ポリマー膜へのアゾベンゼン、サリチリデンアニリン結晶の集積化に成功した。また、結晶構造によっては磁場による配向制御が可能ではない結晶もあるため、別の方法として結晶懸濁液のラビング法を検討し、結晶の長さ方向に配向制御できた。光硬化性モノマーを用いると紫外線を短時間照射するだけでポリマー膜への結晶集積化が可能となった。得られたにポリマー膜に光照射すると、膜全体が屈曲することが明らかになり、クリスタルマシン実現に向けての要素技術を開発できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、クリスタルマシンを構築するために不可欠な要素技術として、微結晶のポリマー膜への集積化についてさらに検討した。その結果、サリチリデンアニリンのm-ニトロ基置換体結晶については、微結晶の長さ方向が磁場方向に対して2つの方向に配向したポリマー膜が得られた。このため別の方法として、結晶懸濁シリコーン液を薄く広げた表面をなぞるラビング法を検討し、結晶の長さ方向を揃えることができた。また光硬化性アクリレートモノマーを用いた場合、紫外光を短時間照射するだけで結晶集積化ポリマー膜を作製できた。この膜に紫外光を照射すると光源とは逆の方向に曲がり、可視光を照射すると元の平らな形に戻る屈曲を繰り返した。この膜の屈曲挙動は単結晶の屈曲と類似しており、ポリマー膜に集積化した微結晶が屈曲することにより、ポリマー膜全体が屈曲することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶の磁場、ラビングによるポリマー膜の作製を継続しつつ、電場による結晶の配向制御も検討する予定である。微結晶集積ポリマーフィルムの光メカニカル特性の照射する光の波長、光の強度依存性も詳細に調べる。また、光照射によりポリマー膜の温度上昇がみられたため、赤外線サーモグラフィで測定する。ポリマー膜のヤング率、仕事などの力学的特性も測定し、光で動くクリスタルマシンの作製に繋げる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主としてフォトクロミック化合物を合成するための試薬、結晶の集積化ポリマー膜作製のための器具、その他ガラス器具等の消耗品の購入、学会発表旅費等に研究費を使用する予定である。
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Research Products
(15 results)