2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノイオン液体を基盤とする超高感度分析システムの開発
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23655130
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森川 全章 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10363384)
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Keywords | イオン液体 / 高比表面積 / ナノワイヤーアレイ構造 / 表面ナノ空間 / 高次構造 / エネルギー移動 / 超高感度分析 |
Research Abstract |
本研究は,様々な基板上に酸化亜鉛やシリコンのナノワイヤーアレイ構造を構築し,その表面ナノ空間にイオン液体を保持するための新しい技術を開発する.また,この基板を用いて水溶液中の微量検体をイオン液体中に濃縮し,超高感度で検出できる新しい分析システムを開発することを目的とする. 前年度までに,酸化亜鉛やシリコンナノワイヤーアレイ構造を作製し,疎水性イオン液体が基板表面のナノ空間に保持されることを明らかにした.また,モデル分子としてローダミンBを用いたところ,水中から基板上のイオン液体へ効果的に濃縮抽出され,超高感度に検出することに成功した. 本年度は,機能性有機分子の動的な自己組織化によって,固体表面上に高比表面積を有する構造体を構築し,その光捕集機能について検討した.具体的には,二本鎖型アンモニウム脂質のスピンキャスト膜を作製し,アニオン性シアニン色素の水溶液を滴下した.その結果,固-液界面の動的な構造変化が誘起され,サンゴ礁を彷彿とさせるような膜表面の高次構造化が進行することを見出した.また,得られた構造体の顕微分光分析により,シアニン色素は膜表面においてJ会合体を形成していることが明らかとなった.一般に,J会合体はエネルギーマイグレーションが効率良く起こることから,得られた超構造体の光捕集特性について検討した.蛍光アクセプターとなる色素を予め脂質膜内に導入した後,先と同様に膜表面の高次構造化を行った.シアニン色素のJ会合体を光励起したところ,超構造体全体からアクセプター色素の発光が観測された.このことは,膜表面においてJ会合体からアクセプター色素への蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が起こっていることを示している.今後,アクセプター色素として,蛍光標識した生命分子などを用いることによって,これらを超高感度に検出する新しい分析システムを開発できるものと期待される.
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Research Products
(7 results)