2012 Fiscal Year Research-status Report
放射型π共役系を内包した有機巨大環状分子の構築と機能
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23655132
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
伊與田 正彦 首都大学東京, 大学教育センター, 特任教授 (50115995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 真士 北里大学, 理学部, 助教 (20438120)
大谷 裕之 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (30213763)
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Keywords | 超分子 |
Research Abstract |
平成24度は「放射型π共役系の結合した有機巨大環状分子の構築」と「巨大環状π共役分子の磁性金属錯体」に取り組んだ。前者はその全合成が鍵となるので、大学院学生および博士研究員と共に積極的に合成研究を行った。特に、放射型π共役系の合成を第一に行う必要があるので、それを中心に置いて研究を行い、その後、巨大環状共役系の合成を行うことを計画し、研究を進めた。また、後者の合成は、一部進んでいるが、最終段階の収率が低いのでその向上に努め、合成を完了すべく努力した。具体的には、放射型π共役系としては、ピロールの縮環したテトラチアフルバレンが放射状に置換した3種のベンゼンを合成して、その平面性と分子の持つ自己会合能を調べ、ヨウ素をドープして導電性の変化を調べた。また、巨大環状π共役分子の磁性金属錯体としては、ベンゼン環のオルト位にトロポロンを導入した分子を合成し、その二価銅錯体を調製して大環状3量体とし、二価銅間の磁気的な相互作用を検討した。この大環状錯体は、フラーレンC60を取り込むこともわかっているので、C60を取り込んだ状態での二価銅間の磁気的相互作用についても調べ、内部に取り込まれたフラーレンを通しての磁気的相互作用の大きさを見積もった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「放射型π共役系の結合した有機巨大環状分子の構築」については、フラーレンを内包した巨大環状オリゴチオフェンの合成とそのX線結晶構造解析にすでに成功した。フラーレンとしては、C60とC70が内包でき、単結晶の作成にも成功している。ただし、放射型π共役系としては、オリゴチオフェンの使用が理想的であるから、現在、その合成も進めている。また、有機巨大環状分子としては、巨大環状トロポロン銅(II)錯体が興味深い分子であるから、その合成を並行して進た。以上の結果、研究目的の達成度は60%程度と考えられ、更なる標的分子の合成を鋭意行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
巨大環状π共役分子の磁性金属錯体としては、ベンゼン環のオルト位にトロポロンを導入した分子を合成し、その二価銅錯体を調製して大環状3量体として、二価銅間の磁気的相互作用をすでに検討した。また、この大環状錯体が、フラーレンC60を取り込むこともわかっているので、C60を取り込んだ状態での二価銅間の磁気的相互作用をさらに詳細に調べ、内部に取り込まれたフラーレンを通しての磁気的相互作用の大きさを正確に見積もることが次の目標である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度において、「フラーレンを内包した大環状磁性錯体の研究」が完結せず、残金が生じたので、次年度にこの繰越金(50,0000円)を使って、フラーレンを内包した大環状磁性錯体における錯体間の相互作用を調べることを計画している。
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Research Products
(10 results)