2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子デバイス測定に向けた微小/薄膜試料の時間領域電子スピン共鳴装置の開発
Project/Area Number |
23655133
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
手木 芳男 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00180068)
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Keywords | 時間分解ESR / 高速ロックイン検出 / 電流検出 / 分子素子 / 薄膜試料 / スピントロニクス |
Research Abstract |
最終年度では、これまでの成果をもとに引き続き微小試料用の試料挿入部等の改良を行い微小試料のCW/パルス-時間分解ESR信号の観測に挑戦した。それととともに、本年度は、有機ELや有機太陽電池などの試料測定に対応できるように、電流/電圧検出と購入したDSPロックインを組み込んだ高感度化によるシステムの改良を試みた。 (1)昨年同様、時間分解ESR信号の高感度に挑戦し、インピーダンス整合のさらなる改良等を行った。ナフチリイミド-アントラセン系や有機CT錯体系で、性能テストを実施した。時間分解能は数μ秒であるが通常の時間分解ESRに比べ、感度が数倍向上した信号が得られた。 (2)ESR用クライオスタット(Oxford ESR910)の試料挿入部に導入できる電圧印加・電流検出プローブの自作と電流・電圧検出ESRを可能にする簡単な回路の自作を行た。整流ダイオードでテストし、電流検出ESRへの改良は成功した。 (3)最近スピントロニクスでホットな話題となっている逆スピンホール効果によるスピンポンピングの実験装置としても使用できるようロックインアンプとESR装置の制御プログラムを改良した。 期間全体の成果としては、ESR装置の心臓部である空洞共振器の試料挿入部分等の軽微な改良により時間分解ESRの高感度化を図るという、本研究の目的の一部は達成された。しかし、信号と変調の位相が十分一致できない問題点が発生し、現在その解決方法を検討している。この問題が解決できれば、さらなる感度の向上が見込まれる。また、装置の試料挿入部分等の軽微な改良により、電流検出ESRも可能になり、今後、(1)~(3)の成果を組み合わせることにより分子デバイス測定に向けた微小/薄膜試料の時間領域電子スピン共鳴装置の開発へを展開する上での基礎的知見と糸口は得られた。
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