2011 Fiscal Year Research-status Report
生体超分子系の機能制御を目指した人工超分子系の創出
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23655136
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
袁 徳其 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70304962)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 超分子化学 / 人工レセプター / 分子認識 / cucurbit[n]uril / シクロデキストリン |
Research Abstract |
グリコウリルからcucurbit[n]uril Q[n](n=5,6,7,8,etc)を合成し、その混合物からQ[5]、Q[6]、Q[7]を効率的に単離精製するはクロマトグラフ分離法を確立した。通常のゲスト分子の包接に適したサイズの空洞を有するQ[7]を確かな手法で入手できるようになったことは特筆すべき点である。 アンモニウム陽イオンがQ[7]の空洞の奥に取り込まれる新しい包接現象を解明することは分子認識に対する理解を深めるだけではなく、超分子設計にも新たな可能性を生み出すと期待される。本研究では様々のコリン類縁体をゲスト分子として、競争的蛍光滴定やカロリメトリー滴定法などにより、Q[7]と各種のゲストとの結合能を評価する。これらの結果から、Q[7]の包接挙動に関する重要な知見を得た。 グリコウリルおよび二置換グリコウリル誘導体から二置換Q[6]の合成は一例報告されているが、コリンの包接に適切な空洞径をもつQ[n]の一または二置換体について報告例は皆無である。本研究では、グリコウリルおよびメチルグリコウリルからメチルQ[n]誘導体の合成・分離法の確立を図った。現在、メチルQ[6]の合成・分離精製・構造決定に成功している。また、メチルQ[6]はQ[n]と類似した包接能を有することも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響でNMR測定装置に不具合が生じたため、関東の施設に依頼しているNMR解析は多少遅れているが、それ以外のすべての項目は順調に進展し、おおむね当初の計画通りに推進することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初計画通りに研究を推進する予定であるが、研究の進み具合に応じて多少の調整を行うことも用意している
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に得られた結果を基にして、重要なコリン類縁体とQ[n]の超分子形成について、以下の検討を行い、超分子形成を制御するファクターを解明する。(1) NMR滴定および2D NMR測定により、溶液におけるQ[7]-ゲストの超分子構造について特徴付ける。(2) 熱力学的検討を行い、超分子形成におけるエンタルピー変化およびエントロピー変化を求める。(3) 超分子形成に伴う重要な核の緩和時間の変化を測定し、動的観点から超分子におけるゲスト分子の束縛状況を検討する。(4) 単結晶を作ってX線屈折構造解析により固体における超分子構造を解明して、溶液における超分子形成を裏付ける。また、新規置換Q[n]誘導体を合成・構造決定し、その分子認識能を、競争的蛍光滴定、NMR測定、カロリメトリー滴定などにより検討を行う。さらに、Kimらによって報告され、Kim研究室以外では殆ど再現できていないQ[n]のヒドロキシ化について検討を行い、修飾可能なヒドロキシQ[n]の合成を図る。
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