2012 Fiscal Year Research-status Report
生体超分子系の機能制御を目指した人工超分子系の創出
Project/Area Number |
23655136
|
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
袁 徳其 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70304962)
|
Keywords | 超分子化学 / 人工レセプター / 分子認識 / cucurbit[n]uril / シクロデキストリン |
Research Abstract |
① 前年度に引き続き、競争的蛍光滴定によるQ[7]とゲストとの分子認識を評価する実験を継続し、計二十数種のコリン類縁体・アミノ酸の結合定数を測定した。包接錯体の解離定数はμmole/Lまでのものも得ることができた。また、NMR滴定により、溶液におけるQ[7]-ゲストの超分子構造について特徴付けたうえ、分子認識能に影響を及ぼす主な要因について検討を行い、多くの知見を得た。② コリン、アセチルコリン、ネオペンタノールとQ[7]の分子認識について、カロリメトリー滴定を行い、熱力学的パラメーターを求めた。収集した情報を総合的に検討した結果、Q[7]はコリンのようなオニオン形ゲストを空洞の奥に取り込み、非常に安定な包接錯体を形成することを解明した。これは今後の分子設計に大いに活用できる重要な知見と思われる。③Q[n]のパーヒドロキシ化について条件検討を行い、パーヒドロキシQ[n]の生成を確認することができた。分離精製法については、更なる検討を重ねる必要がある。④一置換Q[n]の合成に関して、グリコウリルおよびホルムアルデヒド以外のアルデヒドを用いて、様々な条件で試みたが、目的生成物の入手に至らなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響で生じたNMR測定装置の不具合が解消されず、関東の施設に依頼しているNMR解析が一部(緩和時間測定など)実施されていないが、それ以外のすべての項目はおおむね当初の計画通りに実施することができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初計画通りに研究を推進する予定であるが、研究の進み具合に応じて多少の調整を行うことも用意している
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまで得た知見を基に、①コリン類縁体とQ[7]の包接についての検討を継続すると同時に、アンモニウム形医薬品や生体分子も検討対象として視野に入れる。また、②一置換Q[n]の合成について、新たな合成案を考案しその合成法の確立を図る。例えば、尿素とグリオキサールから作った基本ユニットグリコウリルの代りに、チオ尿素やニトログアニジンなどを用いて作ったユニットを利用できないかなどを試みる。③Q[n]のヒドロキシ化について引き続き分離精製法を検討し、得たヒドロキシQ[n]を基にQ[n]二量体、Q[n]-シクロデキストリン連結体などを設計・合成し、コリン二量体のようなゲスト分子に対して優れた分子認識能をもつ人工的レセプターの創出を行い、本研究計画を完了させる。
|
Research Products
(6 results)