2012 Fiscal Year Research-status Report
蛍光画像法に利用する『発光色が可変可能な』ナノ粒子ライブラリーの構築
Project/Area Number |
23655138
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
白幡 直人 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (80421428)
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Keywords | シリコン / ゲルマニウム / 蛍光標識 / バイオラベル / ナノ粒子 / 蛍光 / 発光 / クリックケミストリー |
Research Abstract |
生体分子の認識現象をリアルタイムに観察できる「蛍光イメージング」に使用するための『生体分子が接合した環境半導体ナノ粒子ライブラリー』を世界に先駆けて創り出すことを目的とし、研究を進めたところ下記の成果等を得た。 ○Geナノ粒子における発光色可変の達成【結果】粒子サイズを0.5nmで制御できる合成技術を開発したことで、Geナノ粒子において発光波長を紫外~可視(緑)で連続的に可変することに成功した。スペクトルの半価幅は全ての発光色において500meV以下で、発光の絶対量子収率は4-15%であった。【過去に比べ優れている点】Geでは初めてとなる紫色発光を実現した。半価幅は全ての発光色で過去最小であり、従来明瞭ではなかった発光色-サイズの相関を実験的に証明した(Langmuir (2013) ASAP article; 特願2011-239933) ○緑色発光Geナノ粒子の合成【結果】レーザ化学合成法により、半価幅55nm、535nmにPL蛍光極大をもつGeナノ粒子の合成に成功した。発光のPL絶対量子収率は20%で、大気中に二ヶ月放置後も発光特性に変化は現れなかった。【過去に比べ優れている点】Geで初めてのdeep-green領域での発光。発光効率は過去の最高値4%を上回る(Journal of Materials Chemistry A 1 (2013) 3747-3751;特願2013-018245) ○白色発光Siナノ粒子の合成【結果】フッ硝酸系の粉末エッチングプロセスを通じて、375nm励起で白色発光(CIE, x=0.28, y=0.29)するSiナノ粒子の作製に成功した。【過去に比べ優れている点】Siでは初めての疑似白色発光。単分子修飾による熱的安定性の付与を初めて実証した(Chem. Lett. 41 (2012) 1157-1159.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ゲルマニウムおよびシリコンのナノ粒子を用いることで、近紫外ー可視ー近赤外の非常に広い波長域において発光を連続的に制御することにすでに成功している(これらの成果の一部は論文が執筆中あるいは投稿中であるために【研究実績の概要】には記載していない)。具体的に、波長可変幅は: シリコン:300-850nm ゲルマニウム:350-1280nm である。 これらの成果は、世の中にある蛍光体全てと比較しても、単一元素ナノ粒子で可変できる波長幅としては格段に広く、さらに全ての発光色において、ラベル材に要求される発光効率も満足している。それゆえ商用化にも近いと期待される。このように当初期待したよりも優れた発光特性を示す環境半導体ナノ粒子の製造がすでに実現していることから、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、水溶性Siナノ粒子の製造を実現するために、ナノ粒子表面へ生体分子認識部材を導入する。導入はプロセスの汎用性を考えクリックケミストリーを適用する。アルキンとアジドのほぼ100%の高い反応選択性に加え、大半の有機溶媒や、水中においても進行する点は、生体分子を扱う本研究課題において好適である。クリック反応に使用する末端がアジド基で逆末端にアミンやカルボン酸、アルデヒド、PEGを有する前駆体分子に加え、糖鎖終端も合成により実現する。このような成果を通じて、紫外ー可視ー近赤外の波長域で発光色を連続的に制御できる水溶性Siナノ粒子を合成する。 次に『特異的な生体分子識別機能を有する環境半導体ナノ粒子』を用いて、異なる分子認識挙動のパラレル検出を世界に先駆けて達成する。まずは、PEG-修飾粒子を用いたHeLa細胞の可視化を通じて輝度と励起光密度の相関を明らかにする。同時にRCA-120、Con-Aのレクチン共存バッファー中でマンノース-、ガラクトース-、ラクトース-で修飾された異なる発光色を示すナノ粒子を作用させ、単一励起光下での『複数の糖-蛋白質相互作用』をパラレル検出することに挑戦する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当無し
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Research Products
(24 results)