2012 Fiscal Year Annual Research Report
イオン固定型スルホキシドによるスワン酸化反応の悪臭解決と再利用化への展開
Project/Area Number |
23655142
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
東郷 秀雄 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60217461)
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Keywords | Swern酸化反応 / イオン固定型メチルスルホキシド / アルコール / イオン固定型メチルスルフィド / Corey-Kim酸化反応 / アルデヒド / ケトン / 再生再利用 |
Research Abstract |
Swern(スワン)酸化反応はアルコールの非金属系酸化反応として有機反応で最も頻繁に利用されている手法である。しかし、スワン酸化反応はジメチルスルホキシドが酸化剤として機能するため、反応後、アルデヒドやケトンに加えて、致命的悪臭を放すジメチルスルフィドを副生する。本研究では、アンモニウム基を有する新規なイオン固定型メチルスルホキシドを設計合成した。そして、スワン酸化反応で用いるジメチルスルホキシドをイオン固定型メチルスルホキシドに置き換えることにより、スワン酸化反応でアルコールからアルデヒドやケトンを得るとともに、副生するイオン固定型メチルスルフィドは塩なので気化せずに悪臭を全く生じないこと、イオン固定型メチルスルフィドは塩なので目的生成物であるアルデヒドやケトンの分離精製が容易であること、及びイオン固定型スルフィドは回収してイオン固定型メチルスルホキシドに再生し再利用できること、など種々の重要な点を確立し、国際的学術雑誌に論文として成果を発表するとともに、特許を申請した。また、Core-Kim酸化反応は、ジメチルスルフィドとNCS (N-chlorosuccinimde)を用いたアルコールの非金属系酸化反応であるが、ジメチルスルフィドの悪臭のため、殆ど研究がなされていない。そこで、イオン固定型メチスルスフィドとNCSを用いたアルコールの酸化を検討した結果、アルコールからアルデヒドやケトンを分液操作のみで容易に得るとともに、副生するイオン固定型メチルスルフィドは塩なので気化せずに悪臭を全く生じないこと、及びイオン固定型スルフィドは回収してイオン固定型メチルスルフィドとして再利用できること、など種々の重要な点を確立し、国際的学術雑誌に論文として成果を発表するとともに、特許を申請した。本研究で開発したイオン固定型メチルスルフィドは現在、薬品メーカーからの製品化にも成功した。
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