2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川井 清彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50314422)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | DNA / 診断 / モレキュラービーコン / 1分子 / 一塩基多型 |
Research Abstract |
当該年度は、DNA内部ににアミノリンカーを有するDNAを化学合成し、蛍光色素としてAlexa532、TAMRA、ATTO655を修飾し、光電荷分離の1分子レベル観測によるDNA配列情報の読み出しを達成した。具体的には、DNA固相自動合成機を用いて鎖内アミノリンカーを有するDNAを化学合成し、Alexa532、TAMRA、ATTO655の各蛍光色素のスクシンイミド活性エステルとの反応により蛍光色素修飾DNAを得た。過渡吸収測定により、Alexa532、TAMRA、ATTO655修飾DNAにおいて、これら蛍光色素を励起し、光電子移動を誘起することによりDNA内光電荷分離の観測が可能であることを確認した。ATTO655を修飾したDNAを用いて、1分子レベル蛍光観測法として蛍光相関分光(FCS)を用いたDNA配列情報の読み出しを検討した。FCS測定により、DNAの配列、ミスマッチにより変化するDNA内光電荷分離過程を、過渡吸収測定の1万分の1以下のサンプルを用いて観測することに成功した。本手法は、一塩基多型(SNPs)を含む1分子レベルでのDNA配列情報の読み出し、遺伝診断を可能とする新手法として、日経バイオテクオンラインに記事として掲載され、2011年10月14日付けデイリーアクセスランキング1位、同週の週間アクセスランキング3位を記録し、注目を集めた。光電荷分離を、ターゲットと結合した際のモレキュラービーコンのループ部位でFCSを用いて観測することにより、モレキュラービーコンの1分子レベル観測が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画に従って研究が進展し、研究計画にそのまま沿った研究成果を化学のトップジャーナルであるJournal of the American Chemical Societyに報告することが出来た。しかしながら、現段階では測定可能な配列に制限があり、ただちにモレキュラービーコンの1分子レベル観測へと展開するにはいたらず、読み出し可能な配列の拡張が急務となった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、種々の配列におけるモレキュラービーコンの観測を可能とするため、三重項励起状態の生成に由来するblinkingの観測を利用した、種々の配列におけるモレキュラービーコンの観測を達成する。以降は、平成24年度の研究計画に従い、アスコルビン酸などの電子ドナーを用いて、蛍光色素ラジカルアニオンの生成とその酸素との反応に基づくblinkingの観測を利用した、モレキュラービーコンの1分子レベル観測を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(17 results)