2012 Fiscal Year Research-status Report
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23655155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川井 清彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50314422)
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Keywords | DNA / 一分子観測 / FCS / モレキュラービーコン |
Research Abstract |
相補的なDNA、RNA存在下で蛍光強度が増大するモレキュラービーコンは、遺伝子診断やライブセルイメージングなど、幅広く応用されている。1分子レベルでの高感度モニターも可能であるが、蛍光強度測定に基づくため、蛍光分子の光退色等の様々な影響を受け十分な精度が得られない問題点が残されている。平成24年度は、蛍光分子の励起三重項状態、あるいはラジカルアニオン状態と、酸素や種々の添加物との反応速度に注目し、速度定数の違いに基づきモレキュラービーコンを1分子レベルでモニターする、高感度かつ高精度な新手法の開発を目指した。蛍光分子として、Alexa 532、TAMRA、Alexa 633などの蛍光色素を用いて、種々の位置にこれら蛍光分子を修飾したDNAを化学合成した。蛍光相関分光(FCS)測定により、蛍光のblinkingにおいて蛍光分子から発光が消えている時間(=OFF time)からモレキュラービーコンの1分子レベル観測を試みた。しかしながら、項間交差速度が遅く三重項励起状態がモレキュラービーコンの構造変化に伴う蛍光分子周辺の環境変化が明確に観測されない、還元状態と酸素との反応速度が遅すぎる(> 1 ms)、等の問題に直面した。検討に伴い、蛍光分子としてRhodamine 6Gを用いたところ、1分子レベル蛍光観測において三重光励起状態生成に伴うblinkingが観測された。これにより、三重項励起状態と酸素の反応に伴うblinkingにより、モレキュラービーコンの機能を追跡可能であることを示唆するデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度が最終年度であったため、若干の遅れはあるものの、本課題の一番のポイントであった蛍光分子の選択を達成することができた。これにより、25年度中に目標とする1分子レベルでのモレキュラービーコンの観測を達成可能であると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
Rhodamine 6Gを蛍光分子として用いて、DNA二本鎖、ヘアピン構造の種々の位置に、種々のアミノリンカーを用いて導入したRhodamine 6G修飾DNAを合成する。溶媒の粘度および溶存酸素濃度を変化させるGlycerinの添加量を変化し、Rhodamine 6G三重項励起状態と酸素の反応速度からモレキュラービーコンの1分子レベル観測を試みる。また、ビタミンC等の還元剤を用いて光照射に伴いRhodamine 6Gラジカルアニオンを生成し、同様にRhodamine 6Gラジカルアニオンと酸素の反応速度からモレキュラービーコンの1分子レベル観測を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額は、Rhodamine 6G修飾DNAの合成費、FCS測定のための東京工業大学丸山厚研出張(複数回)、および、日本化学会春季年会(2014年名古屋)での発表経費に充てる。
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Research Products
(15 results)