2013 Fiscal Year Annual Research Report
出芽・分裂を起こす人工細胞創成のためのde novoデザイン
Project/Area Number |
23655156
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
菊池 純一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安原 主馬 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (90545716)
田原 圭志朗 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (50622297)
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Keywords | 自己組織化 / 超薄膜 / 超分子化学 / 分子認識 / 脂質 |
Research Abstract |
本研究では、細胞の分裂現象の重要性に着目し、生体系とは異なる原理を用いて、出芽と分裂を自在に制御できる人工細胞のde novoデザインについて研究を行った。最終年度にあたる平成25年度は、以下の成果を得た。 1.化学シグナルが誘起する人工細胞膜の出芽・分裂: 蛍光性の有機低分子を化学シグナルに用いることで、人工細胞膜の出芽と分裂が誘導されることを前年度までに明らかにした。今年度は、この動的挙動を支配する物理化学的因子を詳細かつ定量的に解析し、温度やイオン強度によって出芽・分裂現象を制御できることを示した。また、タンパク質であるシトクロムcオリゴマーを化学シグナルに用いると、人工細胞膜の動的形態変化を制御できることを新たに見出した。さらに、細胞融合過程での関与の重要性が指摘されている非二分子膜構造を形成できる人工脂質を化学シグナルとして組み込んだ人工細胞膜では、温度制御により膜の相状態を変化させて、出芽・分裂現象を選択的に誘導できることも明らかにした。 2.人工細胞の等分裂・不等分裂の制御: モデル人工細胞として、両親媒性分子を界面に配置したw/o型のマイクロ液滴を作製した。これに、加水分解反応により両親媒性分子へ変換される脂質分子を共存させることで、モデル人工細胞が分裂することを見出した。この分裂は、液滴の体積に対する表面積の比率が増加することで引き起こされるが、液滴細胞の外部にある溶媒の温度や粘性を適度に調節することで、等分裂と不等分裂を選択的に誘導することに初めて成功した。 3.出芽・分裂を起こす人工細胞膜のde novoデザイン: 以上のように、本研究では人工細胞の出芽と分裂を自在に制御できる様々な超分子システムを構築した。また、これらの動的挙動を制御する物理化学的因子を明らかにし、分子認識にもとづく新たな人工細胞分裂システム創出のための設計指針を提示した。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article]2014
Author(s)
S. Junedi, K. Yasuhara, S. Nagao, J. Kikuchi, S. Hirota
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Journal Title
ChemBioChem
Volume: Vol. 15, No. 4
Pages: 517-521
DOI
Peer Reviewed
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