2011 Fiscal Year Research-status Report
ピロール環の回転を基軸とするNー混乱ポルフィリノイドのバイオ展開
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23655159
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井川 善也 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70281087)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ポルフィリン / N-混乱ポルフィリン / バイオチオール / N-フューズポルフィリン / 蛍光センシング |
Research Abstract |
ポルフィリン異性体であるN-混乱ポルフィリン(NCP)は「混乱ピロール環の反転と隣接ピロール環との縮合」により生成するN-フューズポルフィリン(NFP)と相互に変換される。これらポルフィリン類縁体は、通常のポルフィリンとは異なる特性を有し、その生体化学への応用は興味を持たれてきた。本研究では申請者らが開発したNCP/NFP水溶性誘導体を駆使し、ピロール環の回転によるNCP/NFPの構造変換を武器に、生体関連化学の重要な課題である i)特定分子種のバイオセンシング、ii) NCPをプローブとした生体分子への連結、iii)四重鎖DNAの構造制御、の3課題を並行して遂行する。H23年度の実績は下記の通りである。[課題1] 水溶性NFPを利用し、求核種によるNFP→NCP変換を水系で応用し、NCPの蛍光、あるいはNIR吸収の変化を利用した生体求核種のバイオセンシング系を開発した。具体的なターゲットとして、システインなど生体チオールのセンシングを試み、種々の生体チオールを検出可能である事を見いだした。[課題2]課題1の成果をもとに、生体由来の含チオール短鎖ペプチドを求核種とする反応を試み、低分子チオールの場合とほぼ同等の反応性を確認した。[課題3] 水溶性NFPはテロメア四重鎖DNAと相互作用することを見いだした。NFP存在下のテロメア四重鎖DNAの構造をCDスペクトルから検討した結果、NFPはテロメア四重鎖DNAの構造変化を誘起することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は3課題のいずれも、当初の計画通り遂行できた。課題1では求核種によるNFP/NCP変換を水系で応用し、NCPの蛍光、あるいはNIR吸収の変化を利用した生体求核種のバイオセンシング系の開発。課題2では含チオールペプチドとの反応。課題3では、テロメア四重鎖DNAの構造変化、をそれぞれ達成できたたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目も、当初計画に従って遂行する予定である。課題1では、グルタチオンやホモシステインなどの生体チオールのNFP/NCPシステムによる検出。課題2では、システインを付加したタンパク質のNCPによるラベル化。課題3では、四重鎖DNA構造構造の多段階制御を、それぞれ検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度の研究費については予定通り使用したため、H24年度への繰り越しはない。H24の経費については当初計画に従って支出する。
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