2013 Fiscal Year Annual Research Report
ピロール環の回転を基軸とするNー混乱ポルフィリノイドのバイオ展開
Project/Area Number |
23655159
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
井川 善也 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (70281087)
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Keywords | ポルフィリン / N-混乱ポルフィリン / バイオチオール / N-フューズポルフィリン / 蛍光センシング / ポルフィリン類縁体 |
Research Abstract |
ポルフィリン異性体であるN-混乱ポルフィリン(NCP)は「混乱ピロール環の反転と隣接ピロール環との縮合」により生成するN-フューズポルフィリン(NFP)と相互に変換される。これらポルフィリン類縁体は、通常のポルフィリンとは異なる特性を有し、その生体化学への応用は興味を持たれてきた。本研究では申請者らが開発したNCP/NFP水溶性誘導体を駆使し、ピロール環の回転によるNCP/NFPの構造変換を武器に、生体関連化学の重要な課題である i)特定分子種のバイオセンシング、ii) NCPをプローブとした生体分子への連結、iii)四重鎖DNAの構造制御、の3課題を並行して遂行する。H25年度の実績は下記の通りである。 [課題1]前年度に引き続き、グルタチオンの選択的検出を中心とした生体チオール種の検出能力の検定とチオールとの反応種の精密同定を行った。NMRおよびCDを含む各種測定で化合物の同定に成功し、これまでの結果と総合して論文公表を行った。 [課題2]H24年度からの継続検討の結果、システインを介したペプチドのNCPによるラベル化はC-S結合の強度が弱く実用的なラベル化には至らなかったため、標的アミノ酸をチロシンに変更しC-O結合に基づくラベリングを検討した結果、チロシンを介したラベル化が有望である事を見いだした。 [課題3] 水溶性NFP, NCPを含む各種ポルフィリン類縁体とテロメア四重鎖DNAと相互作用の結果に基づき、テロメラーゼ活性の阻害効果を検討したところ、ヘキサフィリン誘導体が最も阻害効果が高い事を見いだした。さらに、より複雑な核酸構造をもつ各種のリボ核酸(RNA)分子との相互作用を検討した。その結果、一部のポルフィリン類縁体がRNA酵素の構造を調節し、触媒活性を正又は負に調節することを見いだした。
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Research Products
(2 results)