2012 Fiscal Year Annual Research Report
量子論に基づく色素増感太陽電池マルチレベルシミュレータの開発
Project/Area Number |
23655169
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畠山 望 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (50312666)
|
Keywords | 太陽電池 / シミュレーション工学 / 化学工学 |
Research Abstract |
本研究は,独自の超高速化量子分子動力学シミュレーションに基づき,動的モンテカルロ法によるキャリア移動シミュレータ,電極材料のμm~mmスケールのメソ構造を構築・解析する多孔質シミュレータ,そして実測と比較できるIV特性シミュレータを融合し,実践的な色素増感太陽電池マルチレベルシミュレータを開発して材料開発を加速化することを目的とする.特に,メソ構造の工夫によって諸問題を改善する可能性を探るツールとすべく,電極構造への色素分子や電解質のパッキング状態を反映可能なシミュレータを構築し,固体電解質系などに応用展開する. 電極表面上の色素分子の光励起を解析するために,パラメータ化によって大規模系を高速に解析することができる独自のtight-binding量子化学計算プログラムについて,各種電極材や色素分子へ適用するためのパラメータ精密化に成功した.多孔質構造シミュレータにより構築した電極構造モデルの物性を評価するために,(1)空隙率分布や屈曲度を精密に解析するための多孔質特性解析シミュレータ,(2)多孔質電極空隙への色素吸着や電解質分布を解析する色素・電解質パッキングシミュレータ,(3)電解液中のヨウ素イオンや固体電解質中のホール移動を解析する電気伝導・物質移動シミュレータを開発し,検証を行った.量子計算結果とメソレベル解析結果を入力値とする独自のIV特性シミュレータについて,CuIやSuSCNなどの固体電解質のみならず,耐久性の面で有力視されている粘度の大きなイオン液体を電解液とする場合についても解析できるよう,拡張を行った.後者については,拡散が律速となる新規スキームを組み込むことにより,粘度の大きな電解液を用いる系についても解析することが可能となった.得られた研究成果について,電池討論会で発表を行った.
|