2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655178
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西原 禎文 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00405341)
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Keywords | リボルバー型分子 / 環状分子 / イオンチャネル / リチウムイオン / 水分子 / 誘電性 |
Research Abstract |
本研究では大環状分子と包接イオン・分子を組み合わせた「リボルバー型分子」を作製し,この形体を利用した新たな機能分子材料開発を目的としている.前年度は,クラウンエーテルと金属イオンからなるシンプルなリボルバー型構造を作製し,その物性を評価した.その結果,新しいタイプのイオン伝導デバイス開発への足掛かりを得た. 本年度は,大環状分子としcucurbit[n]urilを用いて研究を行った.cucurbit[n]urilはn個のグリコールウリル基が環状に繋がった樽状の構造を有しており、上下に金属カチオンを配位することが可能である.また,分子内には水やアニオンを取り込む包接空間を有していることから,この空間を利用した新たな機能材料開発が期待できる.具体的には種々の金属イオンとcucurbit[6]urilを組み合わせた, (FeCl4)2(CB[6])Cl・x(H2O),[Ca4Cl 2(H2O)8(CB[6])]Cl6・(H2O)などを作製した.これらの系はいずれもcucurbit[6]uril内部に水分子を包接していたことから,水分子の揺らぎを構造解析,誘電率測定から検証した.まず,両塩を用いて各温度で構造解析を行った.その結果,cucurbit[6]uril内部に存在する水分子の安定サイトは温度の上昇に伴って増加していた.このことから,温度上昇に伴ってcucurbit[6]uril内部で水分子の揺らぎが観測された.一方,誘電率測定を行った結果,構造解析から見積もられた水分子の揺らぎ出す温度付近から誘電率の周波数分散が観測された.以上の結果から,本研究の目的である,大環状分子内で揺らぐイオンや分子の動きに伴った,新しいタイプの誘電材料の開発に成功した.
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Research Products
(24 results)