2011 Fiscal Year Research-status Report
「イオン液体-磁性体-炭素素材」から生まれる機能性流体の開発と基本電磁特性の解明
Project/Area Number |
23655181
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石川 雄一 大分大学, 工学部, 教授 (30184500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸高 孝 大分大学, 工学部, 准教授 (50163994)
信岡 かおる 大分大学, 工学部, 技術職員 (10398258)
北岡 賢 大分大学, 工学部, 博士研究員 (50457602)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 磁性流体 / イオン液体 / 膨張化炭素繊維 / 機能性流体開発 |
Research Abstract |
本研究は、炭素素材と調和したイオン液体から「磁性流体」を得ることで、幅広い実用化力を持つ機能性流体を開発する基礎知見を得る事を意識している。炭素(膨張化炭素繊維)と磁性金属の双方に親和性があるイオン液体を活用することにより、電場と磁場双方に応答する機能性流体を開発することを研究目的している。23年度の課題はイオン液体中の磁性流体開発と膨張化炭素繊維の化学修飾による機能化とした。 (1)イオン液体中の磁性流体開発: 界面活性剤を被覆していない、裸のフェライト(5 μm)を数週間にわたって安定に分散できるイオン液体をスクリーニングした。磁場印可により、フェライト分散イオン液体の粘性が、増加して飽和する典型的なMR流体挙動を確認できるシステムを見いだした。しかしながら、その飽和磁化は小さく、フェライトに対して反磁性のイオン液体の含有率を低下させることが必要と判断した。即ち、高濃度にフェライトなどの磁性粒子を分散しうるシステムが必要との知見を得る事ができた。この知見獲得により当初計画を微修正した。 (2)膨張化炭素繊維の化学修飾による機能化: ナノからマイクロメーターサイズが混合した膨張化炭素繊維に対してアミン系金属配位子とアルキル長鎖の導入を導入する方法論を確立した。膨張化炭素繊維の水分散液のpHは、アミン系配位子の表面固定により酸性から塩基性になる事を確認し、プラチナなどの触媒能を持つ金属イオンと金属の固定化も確認した。また、アルキル長鎖が導入された膨張化炭素繊維の親油環境における分散性の向上も確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膨張化炭素繊維の化学修飾による機能化の項目については、プラチナや鉄などを固定する方法論を確立できた。但し、フラレーンなどを膨張化炭素繊維上にデザインし合成する計画は実施していない。この項目の代わりに金属を固定化した膨張化炭素繊維の機能評価を展開し、ガン細胞を指向すると同時に制ガン効果が存在することを医学部との共同研究から確認できた。当初期待していなかったうれしい成果を得た。 イオン液体型磁性流体の探索において、反磁性媒体の含有率を低下させない限り、実用化に耐える飽和磁化に問題があることが判明した。23年度の後半は印可磁場下での粘度測定を軸に展開する計画であったが、これを修正し、フェライトを高濃度に安定分散できるイオン液体媒体システムの探索に起動修正した。これに加えて、酸化鉄のフェライトではなく、ナノからマイクロメーターサイズの鉄(0)粒子を分散できるイオン液体媒体システムの探索を開始することにした。 当初計画を軌道修正しながら新しい項目も展開できているため、「進展はほぼ順調である」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる本年度は、実用化に耐える飽和磁化を持つイオン液体型磁性(MR)流体のを開発したい。そのためには、前年度後半から開始したフェライトを高濃度に安定分散できるイオン液体媒体システムと、鉄(0)粒子を分散できるイオン液体媒体システムの探索を成功につなげる事を目的としたい。一方、膨張化炭素繊維の機能化については、前年度に実施していない(1)フラレーンなどのナノ炭素や(2)温度応答性ポリマー(ポリN-イソプロピルアクリルアミド)をグラフト重合的に多数固定した、炭素-炭素組織体や、温度応答性の炭素繊維の開発も展開する予定である。 最終的には、これら膨張化炭素繊維の誘導体をイオン液体型磁性流体と融合させた系の磁気特性の評価を行う事を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、有機と無機のハイブリッド合成系の課題であるため化学試薬とガラス器具、分離用のシリカゲル、溶剤、加熱器具の購入に対して物品費を265万円ほど使用予定である。初年度は、非常に高額なナノ化成品の購入が必要な展開にならなかったため、この経費を次年度に回している。ナノ素材の購入、合成に関する人件費と関連学会への報告、情報入手のための旅費も活用する計画である。謝金も30万円ほどをデータ整理などに計上する。配分助成金は、有意義に活用する。
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Research Products
(1 results)