2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23655183
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野寺 恒信 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (10533466)
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Keywords | ドーピング / 高ドープド有機材料 / 微結晶 / 再沈法 |
Research Abstract |
初年度は、バルク結晶では組成比がCu:TCNQ= 1:1であるところを1.3:1(元素分析値)に変化させたまま、微結晶サイズを30-1000 nm程度の範囲で制御することに初めて成功している。本年度は、引き続きドープド有機材料創成のための作製技術の改良・メカニズム解明を行い、その成果を論文発表した。特に、ラマンスペクトルの解析から、組成比をCu:TCNQ= 1.3:1に固定した場合でも微結晶中に含まれるTCNQ-とTCNQ2-の組成比が変化することを明らかにした。各種分光法など多角的な測定結果を踏まえて、バルク結晶には観測されない近赤外吸収ピークの由来は価数の異なるTCNQ間の電子移動に由来すると推定した。加えて、以下の項目を検討した。 1)ドープドCu-TCNQ微結晶のポラリトン特性・電気特性におけるサイズ効果との関係を調査した。具体的にはペレット状に加工した微結晶サンプルにおいて導電性を評価した。依然、粒界などが原因で再現性は低いものの、高ドープ状態で導電性が向上することを明らかにした。ポラリトン特性との関連には依然謎が残る。 2)高配向π共役高分子へのドーピング:還元再沈法を用いて、Regioregularポリチオフェンなどの高配向π共役高分子のドーピングを検討した。サイズ制御された共役高分子のナノ粒子の作製には成功したものの、効果的なドーピングには至らなかった。引き続き、作製条件の探索が必要である。 当初の予定であった共役高分子材料への展開は道半ばであるが、急激な非平衡過程を用いることで、キャリア移動度の低下を抑えつつ高ドープド有機材料を創成し、そのポラリトン特性を明らかにすることに成功した。本研究において、光をエネルギー源・駆動力とした様々な材料科学の研究開発に貢献する材料の創製指針の一端を解明したと考えている。
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Research Products
(5 results)