2011 Fiscal Year Research-status Report
様々な形態を持つ貴金属ナノ粒子に近接する色素会合体の分光学的特性
Project/Area Number |
23655184
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 智生 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (50205944)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 色素会合体 / ナノ材料 / 光物性 / 分子励起子 / 表面プラズモン |
Research Abstract |
色素会合体と貴金属ナノ粒子を近接して配置したナノ構造体では、色素会合体の励起子吸収帯の強度が、近接する貴金属ナノ粒子中に誘起される表面プラズモンにより強く影響を受ける。本研究において、この特異な分光特性と表面プラズモン励起に大きな影響を与えるナノ粒子の形態との関係を明らかにするため、本年度は次のような研究を行った。(1)まず、表面プラズモン吸収帯が可視域にある銀ナノ粒子(液相に分散)に着目し、球状および様々な軸比をもった回転楕円体ナノ粒子の作製を試みその生成反応条件を検討した。その結果、ナノ粒子の単分散性は必ずしも良くないものの、望みの軸比と表面プラズモン吸収ピーク位置を持つ回転楕円体銀ナノ粒子を作製することができた。単分散性の向上については来年度も引き続き検討する予定である。(2)表面をハロゲン化した球状および様々な軸比をもった回転楕円体ナノ粒子(液相に分散)にシアニン色素を吸着させることによりJ会合体被覆銀ナノ粒子を作製し、その吸収・発光特性の予備的評価を行った。また、J会合体被覆リポソームの吸収・発光特性の評価も行った。表面プラズモンの励起が起こらない有機ナノ粒子であるリポソーム(液相に分散)上に形成されたJ会合体は、銀ナノ粒子上のJ会合体の吸収・発光特性を評価するうえでの参照試料として有用である。これまで、表面プラズモンの影響下に置かれた単分子の分光学的挙動は広く研究されてきたが、表面プラモンと色素会合体に励起されるフレンケル励起子との相互作用について研究された例は少なく本研究は有意義である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の前半で、様々な軸比をもった回転楕円体銀ナノ粒子の作製を試みたところ、その作製条件の設定に想定以上の期間を要した。その結果、シアニン色素J会合体被覆銀ナノ粒子の作製とその分光特性評価は予備的な検討段階にある。また、回転楕円体銀ナノ粒子作製に関しては次年度も引き続き検討をする必要がある。以上を総合的に判断すると、当初の研究計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に実施した、(1)様々な形態をもつ銀ナノ粒子の作製、(2)シアニン色素J会合体被覆銀ナノ粒子の作製とその吸収・発光特性の評価を、今後も継続して行うとともに、平成24年度は、貴金属として金にも着目し、(3)様々な形態をもつ金ナノ粒子の作製、(4)シアニン色素J会合体被覆金ナノ粒子の作製とその吸収・発光特性の評価を試み、更に、(5)会合体を形成する他の色素についても同様な系の作製と評価を試みる。以上の2年間の研究により、貴金属ナノ粒子に近接する色素会合体の特異な分光特性と、ナノ粒子の形態との関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度、様々な軸比をもった回転楕円体銀ナノ粒子の作製を試みたところ、その作製条件の設定に想定以上の期間を要した。その結果、本年度試みる予定であった回転楕円体銀ナノ粒子作製法の幾つかは、次年度に行う回転楕円体金ナノ粒子の作製と合わせて検討することにした。その結果、「次年度に使用する予定の研究費」が生じた。次年度は当該研究費と当初次年度に予定した研究費を合わせて使用する。
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Research Products
(1 results)