2012 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒反応プロセス解析のための光強度変調赤外分光法の開発
Project/Area Number |
23655187
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
天野 史章 北九州市立大学, 国際環境工学部, 講師 (10431347)
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Keywords | 光触媒反応 / 時間分解赤外分光法 / 励起電子 / 金属酸化物 |
Research Abstract |
金属酸化物光触媒は、太陽光エネルギーを化学燃料へ変換するための光機能性材料として注目されている。太陽光の利用効率向上の観点から高い量子収率をしめす光触媒の開発が望まれている。しかし、光触媒反応プロセスの理解が不十分なため、高活性な光触媒の設計指針は明確ではなかった。 本研究では、光触媒反応プロセスの解析を行うことで光触媒の設計指針を明確にすることを目的として、「時間分解赤外分光法」による励起電子密度および寿命の評価を行った。当初において開発を目指していた「周波数分解赤外分光法」については、同様の周波数分解分光法である電気化学インピーダンス法を用いた光触媒反応プロセスの解析を中心に現在も研究を進めている。ここでは、ルチル型酸化チタンと酸化タングステン光触媒について、時間分解赤外分光法により励起電子密度および寿命を求め、光触媒活性との相関を調べた研究実績について述べる。 ルチル型酸化チタンでは、高温焼成によって光酸素生成活性が低下したが、水素還元処理によって活性は増大した。時間分解赤外分光法を用いた結果、焼成によって励起電子と正孔との再結合速度が増加し、水素還元処理によって再結合が抑制されることがわかった。光触媒活性の向上において、酸素欠陥が必要であることを強く示唆する結果である。 酸化タングステンでは、同一試薬から分級して得られた大粒子と小粒子を用いて粒径の影響を検討した。光酸素生成反応における光触媒活性は、小粒子よりも大粒子のほうが高かった。時間分解赤外分光法の結果より、小粒子よりも大粒子の励起電子寿命が長いことがわかった。小粒子ではバルクに対する表面の割合が大きいため、粒子表面での再結合が生じやすく、大粒子よりも光酸素生成活性が低下すると結論できた。粒子サイズの重要性をしめす重要な結果といえる。
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