2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655188
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉川 信一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10127219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本橋 輝樹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00323840)
鱒渕 友治 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80466440)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ナノワイヤ / 酸窒化ガリウム / 酸窒化アルミニウム / カソードルミネスセンス / 電子顕微鏡 / 熱安定性 |
Research Abstract |
金属窒化物および酸窒化物では、金属元素の種類により窒素との化学結合の熱的な安定性が大きく異なる。この安定性の差異を利用すると、窒化物系化合物ナノワイヤの得られる可能性を見出している。1)微量のNiを共存させ酸窒化ガリウムを合成し、幅30~150nm、長さ25μmのナノワイヤが得た。HAADF-STEM電子顕微鏡によって観察し、陰イオンの積層様式が異なるウルツ鉱型と閃亜鉛鉱型が混在して積層する混合層構造を持ち、層構造が広がる方向にナノワイヤが伸びていることを明らかにした。またカソードルミネスセンスでは、酸素を含むところから窒化ガリウム(3.4eV)よりもイオン結合性の強いことを反映して、4.3eVに弱いバンド端と2.7eVには酸素が関与すると思われる青色の発光が見られた。このナノワイヤを種結晶として結晶成長を試みたところ、750~800℃では~150μmまで長尺化した。2)ウルツ鉱型Ga1-xAlx(O,N)y固溶体をx=0.2以下の組成域において得るとともに、固溶体ナノワイヤの生成も認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、微量のNiを共存させて得た酸窒化ガリウムのナノワイヤーについてカソードルミネスセンスを測定し、窒化ガリウムよりも高エネルギーな4.3eVに弱いバンド端吸収と2.7eVには酸素が関与する青色発光を観測した。またその結晶構造についてHAADF-STEM観察によって、多くの積層欠陥を含むことも明らかになった。これを種結晶とした結晶成長についても検討し、その長尺化に成功した。またGa1-xAlx(O,N)y固溶体についても、x=0.2以下の組成でナノワイヤーを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
酸窒化ガリウムのナノワイヤーにおいては、前年度の研究によって欠陥密度がかなり高いことが明らかになった。そこで欠陥を減少させて高品質化するとともに、p型およびn型不純物半導体とする方策を検討してpn接合の形成を目指す。またNiやCoなど3d電子数が多く熱的に準安定な窒化物を形成する遷移金属をドープして酸窒化物ナノワイヤーを形成する手法が、酸窒化ニオブ超伝導体にも適用できるかについても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
金属酸窒化物の創製に関する研究では十分な研究成果が上がっているところから、平成23年度には民間の複数社から申し出があり、共同研究を開始した。これらにも対応しながら本研究を進めたところから、電気炉など新たな実験用装置や器具の設置や消耗品購入が遅れた。このため23年度には多額の未使用額が残ったが、上記のような十分な研究成果を踏まえて、24年度にはさらに研究を発展させて推進するために23年度未使用額も含めて使用する。そこでは原料となる金属硝酸塩などの試薬および高純度アンモニア、反応用管状炉における石英製反応管、発熱体、ステンレス製配管類などの実験用消耗品代として物品費を使用する。また多くの研究成果を複数の国際会議および国内の学会で研究発表するために旅費に充当する。また研究成果を英文論文誌へ投稿する際の英文添削料などにも支出する。
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Research Products
(11 results)